2017/11/22
防災・危機管理ニュース

東京都は21日、「女性の視点からみる防災人材の育成方針」の第3回会合を開催した。女性防災人材の育成に向け、テキストとカリキュラム両方で基礎的なものと応用的なものを用意。カリキュラムについてはさらに地域向けと職場向けのコースを用意する。
テキストについては基礎編に身を守る知識と避難生活に関する知識を掲載。身を守る知識では事前の備えや発災時にその場で身を守る方法、生活再建方法を、避難生活に関する知識では心と身を守る方法や快適に避難生活を送る方法を掲載する。応用編では(1)女性が活躍した過去の好事例から講師の解説を経て受講者が演習を行う(2)過去の震災を参考に仮想の状況を作り、講師の解説や受講者の演習を行う―の2パターンが示された。いずれも応用編は受講者が考えをめぐらし演習を行う内容となっている。
カリキュラムについては基本編の「ウーマンセミナー」と上級編の「防災コーディネーター育成研修会」(いずれも仮称)を実施。いずれも専業主婦を中心とした地域向けと働く女性向けに展開する。基本編は座学で、上級編は座学以外に演習も実施。基本編で基礎編のテキストを、上級編では基礎編と応用編のテキストを利用する計画。
働く女性向けの基本編講座では業務中に災害が起きた時に何が起こり、どう身を守るのかを説明。上級編では災害時に会社や自分に何が起きているか理解し、対応するだけでなく、自分や周囲の困りごとを把握。3日間は帰宅できない可能性もあることから、環境改善に向けた提案や交渉ができるリーダー人材育成を図る。実施場所は協力企業のオフィスや都心など働く女性が参加しやすい場所とする。時間は基本編が平日夜間に90分程度、上級編は休日2日程度を見込む。
地域向けは基本編が居住地域にいるときに災害が起こった時にどう身を守るのか、上級編では地域の防災リーダーとなるべく、避難生活において改善に向けた交渉や提案のできる人材育成を目指す。時間は基本編が120分程度、上級編が2日程度いずれも休日に、場所は地域の公民館や新宿区の都庁を想定している。
出席した委員からは「働く女性向けにはBCP(事業継続計画)についても知ってもらいたい」といった意見が出された。都から委員にはテキスト掲載のため過去の災害における女性活躍事例を紹介するよう要請を行った。都では12月の次回会合で最終報告案を提示。2018年1月に最終報告を公表し、同3月にキックオフイベントを開催。2018年度からカリキュラムを開始する計画。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2023/01/31
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月31日配信アーカイブ】
【1月31日配信で取り上げた話題】家庭での防災行動を高めるために
2023/01/31
-
-
1000人に聞いた防災の取り組みと行政への期待
リスク対策.comは、地域住民がどの程度防災に取り組んでいるのか、また防災の観点から行政に対してどのような要望を持っているのかなどを把握する目的でインターネットによるアンケート調査を実施した。その結果、2021年5月から避難勧告が廃止され避難指示に一本化されたことについては約5割しか理解していないことや、平時から国や地方自治体の防災のホームページなどがあまり活用されていない実態が明らかになった。調査は、2022年11月21日から22日にかけてインターネット上で行い、全国の20歳以上の成人男女1000人からの回答を得た。質問は、回答の質を高めるため「この質問は一番右の回答をお選びください」という条件項目を入れ、適切な回答をしなかったものを除き、計889人を有効回答として分析した。
2023/01/30
-
社内滞在時をイメージさせる実践的な訓練と備蓄
テクニカルセラミックスを開発・生産するクアーズテックは2012年、東京都の帰宅困難者対策条例を機に一斉帰宅抑制対策に乗り出しました。独自のプログラムを追加した実効性の高い訓練や被災時の心理にも配慮したきめ細かな備蓄が評価され、2021年には東京都のモデル企業に。同社の取り組みを紹介します。
2023/01/29
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月24日配信アーカイブ】
【1月24日配信で取り上げた話題】最強寒波への備え
2023/01/24
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月17日配信アーカイブ】
【1月17日配信で取り上げた話題】防災心理を学ぶゼミ生が制作した企業の防災マニュアル/コロナ発生から3年 企業の初動対応を振り返る
2023/01/24
-
BCPと助け合える関係が機能した災害復旧活動
2019年の台風19号でグループ含め3工場が壊滅的被害を受けたカイシン工業は、経営トップが「全力復旧」の方針を発表すると各工場が即座に活動を開始。取引先や協力会社の支援を受けて設備の交換を迷いなく進めるとともに、代替生産によって早期に出荷を再開しました。同社のBCPと助け合える関係づくりを紹介します。
2023/01/19
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方