アンジャッシュ渡部氏の会見はなぜ失敗したのか
第23回目 記者会見の仕切り役の重要性
日本リスクマネジャ-&コンサルタント協会副理事長/
広報コンサルタント
石川 慶子
石川 慶子
東京都生まれ。東京女子大学卒。参議院事務局勤務後、1987年より映像制作プロダクションにて、劇場映画やテレビ番組の制作に携わる。1995年から広報PR会社。2003年有限会社シンを設立。危機管理に強い広報プロフェッショナルとして活動開始。現在は企業・官公庁・非営利団体に対し、平時・緊急時の戦略的広報の立案やメディアトレーニング、危機管理マニュアル作成、広報人材育成、外見リスクマネジメント等のコンサルティングを提供。講演活動やマスメディアでのコメント多数。国交省整備局幹部研修、警察監察官研修10年以上実施。広報リスクマネジメント研究会主宰 https://m.umu.co/ssu_fdI99e9
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記者会見は、さまざまな目的で開催します。「会見」という名称がつく場合、新製品の「記者発表会」とは異なり、社会の関心時について説明をするため、記者の質問に答える時間が多く配分されると考えてよいでしょう。
「会見」では質問が殺到することが予測できるため、「仕切り役」の存在が欠かせません。なぜなのか。今回は、話題になっているお笑いコンビ「アンジャッシュ」の渡部建氏が行った12月3日の会見から考えます。
記者の質問を仕切る人は不可欠
この会見で私が最も驚いたのは、ぶら下がりという立ったままレポーターに囲まれる形で100分も行ったこと。そして仕切り役が誰もいなかったことです。仕切り役がいなかったから100分も行うことになった、ともいえます。
ぶら下がり方式は、短時間で済ませたい場合に選択する形式です。謝罪をしっかり行いたい場合には不適切なのです。また、レポーターの質問を仕切る人がいないため、同じ質問が何度も繰り返されてしまい、不毛な時間が過ぎていきました。通常は、同じ質問が繰り返された時が終了のタイミングになります。
さらに、答えられない質問に困る渡部氏の姿が何分も映し出され、誰も彼を守る人がいない状況、すなわち「イジメ」の構図となり、見ている視聴者も見ているだけで加担しているかのような気持ちになり、不愉快さを生み出してしまいました。
途中で見ていられなくなり、見るのをやめた人も多いのではないでしょうか。私も見かねて何度も目を背けたり、ため息をついていました。事前に解説を依頼されていたため何とか最後まで苦痛に耐えながら見ましたが、見終えた後には気分が悪くなり、ひどく不機嫌になりました。
これほど後味の悪い会見は初めてです。仕切り役不在の謝罪を目的とした会見も見たことがありません。この会見の最大の失敗は、仕切り役が不在であったことに尽きるでしょう。では、どのように仕切るとよいのでしょうか。