2017/12/22
防災・危機管理ニュース
内閣府を中心とした政府の中央防災会議は21日、「洪水・高潮氾濫からの広域避難検討ワーキンググループ(WG)」の第6回会合を開催。大都市における広域避難に関する基本的な考え方のとりまとめへ向け、主に墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区の東京都の江東5区の事例を中心に、洪水や高潮が起こった際の広域避難計画について話し合われた。
人口約255万人の江東5区は大規模洪水が起こった場合、最大178万人が避難の必要があり、5区内の域内避難が最大で19万人いたとしても、域外避難が最少でも159万人となる。調査で66%の住民が自主避難先への避難を検討し、江東5区内での公的避難施設の容量が3万人分あることから、江東5区外への公的施設への避難者は51万~58万人の見通し。
159万~178万人が区域外移動をしなければならないことや鉄道の運行停止もあることから、天気予報などで推定できる堤防決壊予想時刻の24時間前には避難開始を行うべきとした。また、他の自治体の公的避難施設への避難を最低限とするため、親戚宅や通勤先といった自主避難先の確保を奨励し、広域的な避難施設の調整も行う。歩行者の整列や一方通行規制といったスムーズな移動実現を目指す。
WGではこれらのような避難対象者や避難時間の算出のほか、移動手段や避難先といった主に三大都市圏における洪水や高潮からの広域避難に関する基本的な考え方をとりまとめる方針。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方