合理的な理由なく正社員だけに限定するのはNG
テレワークガイドライン改定のポイント

毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2021/04/22
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
厚生労働省は、令和3年3月25日に「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下、「新ガイドライン」といいます。)を公表しました。そこで今回は、改定されたテレワークガイドラインについて解説します。
テレワークに関しては、もともと「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成20年7月28日基発第0728001)により、在宅勤務を行う労働者の労務管理上の留意点が記載されていました。
その後、政府が働き方改革を推進するなかで、働き方改革実行計画に基づき柔軟な働き方を実現する働き方としてテレワークの普及・促進が図られ、平成30年2月22日に「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」が策定されました。平成30年のガイドラインでは、在宅勤務だけでなく、モバイル勤務やサテライトオフィス勤務を行う労働者の労働時間の管理や安全衛生管理、業績評価、費用負担、社内教育など、使用者が留意すべき事項について解説されていました。
そして、今回公表された新ガイドラインは、新型コロナウイルス感染症対策として、多くの企業が在宅勤務を主とするテレワークを導入し、多くの労働者がテレワークを実施したことで新たに見えてきたテレワーク実施に伴う課題や疑問点について、より詳細に記載されたものとなっています。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により社会、経済そして人々の生活の在り方が大きく変化していますが、新ガイドラインでは、「テレワークはウィズコロナ・ポストコロナの『新たな日常』『新しい生活様式』に対応した働き方であると同時に、働く時間や場所を柔軟に活用することができる働き方として、さらなる導入・定着を図ることが重要」であるとしています。
新ガイドラインの主な改定のポイントは、次の通りです。
労働者が安心してテレワークで働くことを選択できる体制を整備する上で必要とされる、多様な働き方を前提とした人事評価制度や人材育成の在り方、テレワークに要する費用負担の取り扱いなどに関する記載が追加されました。
なお、テレワークに要する費用の税務上の取り扱いについては、国税庁が「在宅勤務に係る費用負担に関するFAQ(源泉所得税関係)」(令和3年1月15日)が公表しており、また、社会保険料などの算定基礎に在宅勤務手当や通勤手当を含めるか否かについては、厚生労働省のテレワーク総合ポータルサイトでその取り扱いが公開されています。
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