3度目の緊急事態宣言発出にともなう小池百合子東京知事の記者会見(写真:つのだよしお/アフロ)

コロナ禍で、トップが防災服を着用するシーンが増えました。危機時の服装には気を付けるべきことが多くあります。なぜなら、服装そのものがメッセージになるからです。今回は、自己演出力が高いといわれる小池百合子東京都知事の服装と、そこから伝わるメッセージを考えます。

防災服はきちんと着ないと違和感がある

1年前、初の緊急事態宣言の時期には、紺のスーツに品のよい柄やパステルカラーマスクでまとめるなど、引き締まり感と手作りマスク演出のソフトさがマッチして好感が持てました。しかし今年は防災服に身を包み、危機のメッセージを強く打ち出しているものの、その姿には違和感がありました。原因は、防災服の着方、アクセサリー、メイクにあります。

スタイリストの高野いせこ氏が指摘したのはアクセサリーの使い方。「防災服を着用していながら派手なネックレスをしているから違和感があるのでしょう。防災服を着たら外すべき」。防災服を着用していながらキラキラ光るものが目に入ると、浮ついて見えてしまうのです。

試しに小池都知事がアクセサリーをしていない防災服姿を探したところ、確かにアクセサリーなしの防災服姿は凛々しく頼もしく見えました。

全身の見せ方に詳しいスマートアクトディレクターの鷹松香奈子氏は、全身のバランスについて指摘しました。「スカートの上に防災服を着用しているから、ちぐはぐに見えるのです」。スカートにジャンバーだと、危機のメッセージが中途半端に見えてしまう。防災服を着用するのであれば、上から下まで着用するべきですが、履き替える時間がないなら、スカートではなくパンツスタイルにする選択をしてほしいと思います。

鷹松氏は「ジャンパーのファスナーも、上まで閉めればきちんとした印象が出ると思います。アクセサリーをしていても、それを隠すことができるのではないでしょうか」とも主張。そもそも小池都知事のスカート丈は若干短くて膝小僧が見える長さ。座ると丈が上まで上がってきてしまいます。これが違和感を増幅させています。

そして、メイク。表情と声に詳しい自己演出プロデューサーの山口和子氏は「小池都知事は元アナウンサーですから当たり前ですが、声のスピードもちょうどよく、高さも聞き取りやすい。目力もあり力強さがあります」と評価しつつも「表情のポイントになる目元のメイクがやりすぎです。アイラインを下まで引いてしまうから派手になるのでしょう」と過剰さに言及。もともと目力があるからそれで十分ということです。