2018/03/27
防災・危機管理ニュース
国土交通省は26日、部品や氷塊といった航空機からの落下物防止と万が一起こった場合の対応の方針である「落下物対策総合パッケージ」を公表した。2018年度内に落下物防止基準を策定。外資を含む航空会社にも適用する。また落下があった際の補償や見舞金も充実させる。
2017年9月23日、関西空港発のKLMオランダ航空機から大阪市内でパネルが脱落し、走行中の車両に衝突する事故があった。2017年には成田空港発の航空機からも落下物が発生。また2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け到着時に東京都品川区や新宿区、渋谷区、港区上空などを通る新ルートを導入し、発着回数を増やすことに懸念の声もあることから、2017年11月に「落下物防止等に係る総合対策推進会議」を設置。4回のワーキンググループも含め議論し、26日の会合で「落下物の強化策」として報告書を取りまとめた。パッケージはその報告書を受けたもの。
パッケージでは落下物防止対策基準を2018年度に策定する方針。機体の改修といったハード面のほか、整備・点検や落下物があった場合の原因究明・再発防止の検討体制といったソフト面の両面から航空会社に基準に基づいた対策を義務づける。事業計画の記載事項に落下物防止対策を追加させるため、航空法など関連法令を改正することで実施する。航空会社は日本の会社以外に、日本に乗り入れる外国の会社も含む。落下防止対策は合計190件、最も多い機種は24件となる。
万が一落下物が発生した場合、救済制度として補償制度のほか、見舞金制度も導入する。これまで成田空港と羽田空港で任意の補償制度があり、それぞれ9割、6割の航空会社が加入しているが、加入を義務づけ、共用空港を含む国管理空港と会社管理空港の計31空港に対象を拡大。落下物の多くは空港周辺で発生していることから、原因となった空港の運営者が補償費を立て替え、航空会社が加入する保険で補てんする想定。完全に原因機が特定できない場合、可能性がある複数機で補償額を按分する場合もある。50億円程度を補償額の条件にする見込み。補償とは別に、空港運営者から見舞金を出す制度も作る。
国交省ではこれら落下物防止対策を、羽田空港の新ルートで影響のある地域住民にも説明していく方針。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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