2018/04/04
防災・危機管理ニュース

小此木八郎・防災担当大臣は3日、トルコのレジェップ・アクダー副首相、メフメット・ギュルオール災害緊急事態局総裁と会談した。また同日閣議後の記者会見で、3月末に東京都が相次いで発表した、高潮被害想定や旧耐震基準建築物の耐震診断結果についての質問に回答。高潮・洪水の際の広域避難で都と協力する方針を示した。
小此木担当相とトルコ側との会談では、災害全般について話し合われた。トルコも日本と同じく地震の多い国で、発災時の救助対応に定評がある。2011年の東日本大震災では約10日後には32名のトルコの救援チームが被災地に派遣されている。両国で災害全般について協力し合うことを確認した。
閣議後の記者会見で小此木担当相は都が3月30日に発表した大型台風が通過した際、最悪東京23区の3分の1が浸水するとした高潮被害想定について、「3月5日に中央防災会議のワーキンググループ(WG)から広域避難の基本的考えが出された。広域避難の実装に向け、都と共に関係機関からなる検討の場の設置へ調整を行っている。引き続き政府一体で取り組みを推進する」と説明した。
内閣府を中心とした中央防災会議のWGは、主に三大都市圏を想定した複数の自治体にまたがるような高潮・洪水時の広域避難計画の策定手順をまとめた。モデルケースとして墨田区、江東区、足立区、葛飾区、江戸川区の江東5区の大規模洪水の場合、178万人の避難が必要としている。
同29日に都が行った耐震性のない建物の実名も含めた耐震診断結果公表については「不安につながるし、国としても注視していかないといけない。東京に限らず各地域で(耐震性のない建物を)解消するための確認は必要だ」と述べた。
■関連記事
東京23区の3分の1が最悪浸水も
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5571
複数自治体の洪水広域避難計画策定手順
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5145
震度6強以上で2割弱が倒壊可能性大
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5558
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/06/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方