2018/04/24
防災・危機管理ニュース

ミューチュアル・エイド・セオリーは23日、「Guardian(ガーディアン)72」と題した、災害時に役立つ備蓄品を詰め合わせたボックスの配送事業について東京・千代田区の霞山会館で記者発表を行った。備蓄品を受け取った被災者向けに無料の法律や医療相談の窓口を設けるほか、5月10日付で一般社団法人防災支援システム研究所を新設。防災士育成や寄付に関する業務などを行う方針。
ボックスには食料品や水、衣類、衛生用品など生活に役立つものを概ね1人向けに3日分詰め合わせる。通常時は備蓄倉庫に保管され、災害発生時に、既に1箱に詰められている「Guardian72BOX」が避難所に届けられる。価格は1箱あたり2万円。企業などからの寄付や、CSR対策費・防災対策費などでの購入を見込んでいる。「Guardian72」の取り組みは公共性の高いプロジェクトとして、BCM格付融資の対象としても認められる。
備蓄品を受け取った被災者向けに、法律と医療の相談窓口が設けられる。法律は弁護士による一次相談窓口を設け、電話とネットで24時間365日、無料で相談を受け付ける。相談内容によって、その内容の得意分野の弁護士に仕事を割り振っていく。記者発表に出席したフォーゲル綜合法律事務所の嵩原(たけはら)安三郎弁護士は「24時間365日対応のため、1000人程度の弁護士を組織したい」と語った。
医療についてはオンライン医療事業を主に手がけるアナムネ(anamne)が相談を受け付ける。こちらも電話とネットで24時間365日、無料で受け付ける。被災者に届けられるボックスにはシリアルナンバーが記載されており、法律も医療も相談を受け付けた際にこの番号で相談者の管理を行う。
5月10日付で設置される防災支援システム研究所では、「Guardian72」を支えるための防災士育成のほか、企業などからの寄付や賛助に関する業務なども行う。IHI相談役の釡和明氏や元千葉県知事の堂本暁子氏らが理事を務める。ミューチュアル社の有馬朱美社長は、「Guardian72」の取り組みについて、内閣府には自治体のボックス購入原資となる、ふるさと納税や省庁間協力、総務省には消防面などで協力を仰いでいることなどを説明。「2020年6月までに日本の人口の10%にあたる1280万セットの備蓄を目指す」とした。
また、ミューチュアル社は主に東京23区の企業向けに被災者支援目的とは別の自社用備蓄品を1万8000円で販売している。これについては保管を購入企業が行い、発災時は企業社員が利用する。4月に、三井グループの企業が自社社員向けとして初めて購入したという。
■関連記事「備蓄品配送で自衛隊OBなどを採用」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4503
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
- keyword
- Guardian72
- 備蓄
- 法律
- 医療
- 弁護士
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/06/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方