2021/10/07
本社機能のバックアップについて
~いざというときの対応力強化のために~
証券投資管理の専門家集団
――資産管理専門銀行について詳しく教えていただけますか。
小林氏:当社のお客さまである機関投資家(※2)が投資して保有する有価証券の管理は大変複雑で、それらから生ずる権利を適正に保全するためには高度な管理技術を要します。これらの有価証券の売買、売買代金の授受を適正に執行し、この権利保全をお客さまに代わって担うことが当社の使命です。
当社が管理する有価証券の銘柄数(※3)は、全世界合計で約7万銘柄(※4)におよび、この数は毎年増え続けています。
※2 年金基金、投資信託、金融機関などのお客さま
※3 株式、債券、投資信託、デリバティブなどの投資対象銘柄数
※4 2021年4月現在
絶対に止められない
お預かりする資産が481兆円に及びますと、当社が動かすお金は1日当たり30兆円になります。
もしこの規模のお金が1日でも動かないことになると、お客さまにご迷惑をかけるだけでは済まず、日本の経済の動きを止めてしまう恐れもあります。このことは、当社が「何があっても仕事を止めることができない銀行」であり、業務継続態勢を強化し続けるゆえんでもあります。
業務継続態勢
~東京大阪の2拠点によるデュアルオペレーション~
「不測の事態」運用を平時から始めてしまう
――事業継続(BCP)についてのお考えをお聞かせください。
小林氏:事業継続計画は一般に「不測の事態」への準備という考え方でとらえられます。「不測の事態」は予測することが難しいので「不測」です。よって、その「事態」が起きてから対処するのは大変な苦労を伴います。
そうであれば「その対処を平時からやってしまおう」というのが事業継続に対する当社の考え方です。
バックアップではない「デュアルオペレーション」
――実際にどのような業務継続態勢を構築されているのでしょうか。
小林氏:当社は拠点やサービス機能を東阪に分散させているだけで、特別なことはしていません。唯一特徴的なところは、大阪オフィスが東京オフィスの「バックアップ」ではないことです。
当社では全く同じ業務を東阪で分割して執行しています。このため、いずれか一方のオフィスで業務継続が難しくなった場合でも、他方のオフィスが仕事を引き取れば当社としての仕事を続けることができます。
システムは二重三重の装備
一方、業務システムの運用については、二重三重のバックアップ体制を講じています。具体的にシステムセンターの場所はお伝えできませんが、東名阪の各地域にシステムセンターを擁し、いずれか一か所が停止した場合でもすぐに他のセンターへ運用を切り替えて業務を継続できます。
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- 第2回 平時から備える本社機能バックアップ体制
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