停電用の防災グッズも多機能で小型のものが多くなってきました。でも、持っているだけでは災害時に役立たないことも。何に気をつければよいか見ていきましょう!

コロナ禍でキャンプがブームになっています。私もあまり出歩けない中、本格的なキャンプではないものの、外での時間を満喫するようになりました。自宅のベランダでご飯を食べたり、テントの設営や道具の準備なしでキャンプができる「グランピング」に出かけたり……。アウトドアでは電気が通っていなくても使えるグッズが必要になってきます。明かりとしてランタン、携帯の充電用にポータブルバッテリー、料理用にガスコンロ。本格的なキャンパーなら、ポータブル蓄電池を購入する場合も。実は、こうしたグッズは防災にも役立ちます。アウトドアでこれらのグッズを使い慣れておけば、いざという時に「使い方がわからない!」と戸惑うこともありません。アウトドアブームはいつの間にか、日本人の防災力を高めていたと言えるかもしれないですね。

アウトドアのグッズがとくに生きてくるのは、停電で電気が使えない時です。今回は「停電」にどう備えるべきか、一緒に考えていきましょう。

大切なのはシミュレーション

停電でメディアが使えなくなると、給水や食料支援などの情報が届かなくなることも(出典:災害写真データベース http://www.saigaichousa-db-isad.jp/drsdb_photo/photoSearch.do

災害で停電に見舞われると、どのような被害が生じるのでしょうか? 一つが情報の遮断です。テレビが観られなくなると、お年寄りは情報が得られず、孤立するおそれがあります。たとえ若い世代でも、停電時にはいつ充電できるかわからないため、スマホをむやみに使えません。情報が入らなければ、炊き出しや給水の場所さえわからない。最悪の場合、命の危険にもつながります。そんな時、情報を得る手段として役立つのがラジオです。小さくて軽く、わずかな電気で駆動するので、災害時にはいまだに最も役立つツール。これさえあれば、全国の情報のみならず、コミュニティFMが発信するローカルな情報もリアルタイムで取得できます。非常用持ち出し袋の中に必ず入れておきましょう。

もう一つ、停電によって影響が生じるのは水回りです。水道を電気で汲み上げているビルやマンションの場合、停電に伴い、断水が発生することも。普段からもしもの時に備え、お風呂に水をためるようにしておくと安心です。さらに電気を利用するIHクッキングヒーターなどを使っている家庭では、お湯が沸かせなくなります。ですから、カセットコンロとガスボンベの用意は必須です。

ではそのほか、停電によって起こることは? 停電が起きた時のシミュレーションを試しにやってみると、たくさんのことが見えてきます。まずは家庭やオフィスを見渡し、どんな電化製品がどれくらいあるか、改めてチェックしてみましょう。驚くほどたくさん見つかるはずです。仮に停電でそれが動かなくなったとしたら? たとえば、マンションのオートロック。オートロックには手動で解錠できるタイプと、停電直前の状態を保つタイプがあります。自分のマンションがどちらのタイプか知らない人は、意外と多いもの。一度管理会社に問い合わせるか、マンションの張り紙をチェックしてみましょう。

このように、事前に少しの準備をするだけで緊急時にも安心して行動できるようになります。