2018/06/21
防災・危機管理ニュース
最新のロボット手術装置
設備は船内とは思えない、本格的な病院そのもの。レントゲン室は4つあり、CTスキャンも設置。全身を25秒で調べられる。手術室では心臓バイパス手術と移植手術以外のことは全てできる充実ぶり。特に目を引くのは世界初の海上設置のロボット手術装置「ダビンチ」。医師はモニターを見ながらコントローラーを用いてロボットを操作・施術する。
ロボットにはカメラや施術器具を動かすアームがある。実際に4例、胆のう摘出などでダビンチを用いた施術が行われた。2月に設置されたばかりのこの装置。切り口が小さく痛みが少ないという利点もある。現在のルールでは執刀医は現地立ち合いが必要だが、将来は遠隔操作による手術も視野に入っているという。
また輸血を見込み、血液(血小板)を保管する血液バンクも設置。全血液型に対応できるO型の血液1000パックをサンディエゴで積み、マイナス80℃で保管。冷凍で10年保存可能となっている。使用時は解凍機にかけ、保存料であるグリセリンを取り除く。さらには手術のトレーニングも可能。コンピューター制御されたマネキンがあり、泣いたり痛がったりという反応も見ながらの訓練を行えるようになっている。
米海軍パシフィック・パートナーシップ2018ミッションコマンダーであるデビッド・ブレッツ大佐は16日の報道陣による取材に対し、「陸の施設が災害で破壊された場合でも、洋上で患者を受け入れることができるのは大きい」と語る。米海軍にはもう1隻の病院船があり、2017年にハリケーン被害を受けたプエルトリコにも派遣されている。
陸上のインフラ破壊の影響を受けずに先端医療を提供できる病院船。日本でも2013年度から実証実験が行われている。しかし自衛隊の艦船や民間船に医療設備を載せるというもので、病院船の建造を進めているものではない。16日にマーシーを視察したという小此木八郎・防災担当大臣は19日の記者会見で「得られた知見を生かせるよう、関係省庁と連携し医療体制確保への取り組みを進めたい」とし、今のところは病院船建造ではなく、既存船舶の活用で検討を進める旨を示した。
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