2018/06/22
激甚化する水害への対策を!

浸水想定し防御ライン設定し対策
また、土屋氏はそもそも首都圏のハード面の水害対策の脆弱性も指摘。東京港の特殊提は厚さが30~40cmで大災害時での大被害の危険が高い。「スーパー堤防」と呼ばれる高規格堤防の有効性を土屋氏は説明するが、民主党政権時に事業仕分けで悪者扱いされ、2010年にいったん廃止。その後に従来計画の約873kmを、荒川、江戸川、多摩川、淀川、大和川のゼロメートル地帯を中心とした緊急性のある約120kmに縮小し整備を進めることとなったが、国土交通省によると2017年3月末点での整備状況は整備区間の約12%の約14kmにとどまっている。「政権が代わっても防災のための整備が変わらない仕組みづくりは重要」と指摘。国土の4分の1が海面以下のオランダのように基金を作り、政権交代に左右されない整備・財政措置をとることが望ましいとした。

このように浸水の危険性が高い首都圏で、企業は事業継続のために何をすべきか。土屋氏は「ハザードマップなどを基に、まずオフィスのあるビルごとのBCP(事業継続計画)診断を行うことが大事」と話す。診断を基に、どの程度の浸水がありえるのかを把握。そのうえで設備や備蓄品など守るべきものの優先順位をつけ、最低限守るべきいわゆる「防御ライン」を設定。止水板の設置や設備の上層階への移動といった具体的対策を決める。当然安否確認や被災時の出勤・勤務体制や役割分担も重要となる。「日本にはまだ水害対策について詳しい人物は少ない。危険性の分析と、ハード面とソフト面両面からの対策を、専門家を呼んで行うべき」と土屋氏は語った。
■関連記事
東京23区の3分の1が最悪浸水も
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5571
政府と東京都など、水害広域避難検討会
http://www.risktaisaku.com/articles/-/6407
リスク対策.com:斯波 祐介
激甚化する水害への対策を!の他の記事
- 浸水区域従業員を職場で受け入れが必要
- 水害に脆弱な東京、企業はBCP策定を
- 政府と東京都など、水害広域避難検討会
- 内閣府、水害・土砂災害対策の手引き
- 対策による水害リスク軽減見える化へ
おすすめ記事
-
-
ランサムウェアの脅威、地域新聞を直撃
地域新聞「長野日報」を発行する長野日報社(長野県諏訪市、村上智仙代表取締役社長)は、2023年12月にランサムウェアに感染した。ウイルスは紙面作成システム用のサーバーとそのネットワークに含まれるパソコンに拡大。当初より「金銭的な取引」には応じず、全面的な復旧まで2カ月を要した。ページを半減するなど特別体制でなんとか新聞の発行は維持できたが、被害額は数千万に上った。
2025/07/10
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/08
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/07/05
-
-
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方