2014/07/25
ニュープロダクツ
Bloom Energy Japan株式会社
分散型発電の1つの理想形とも評される米Bloom Energy社の業務用・産業用燃料電池発電システム「Bloomエナジーサーバー」がいよいよ首都圏でも動き出した。燃料電池を活用して、電源の冗長性を確保しながら省エネを実現する新たな電力サービス。ソフトバンクとBloom Energy Japan株式会社は6月17日、東京汐留ビルディングでBloomエナジーサーバーの営業運転を開始した。出力規模は200kWで、ソフトバンク本社の年間電気需要の14%をまかなえるという。
燃料電池は、水素と酸素を化学反応させて電気をつくりだす。Bloomエナジーサーバーは、都市ガスから水素を取り出し酸素と化学反応させて発電する。従来のガスタービンを利用した発電装置は大規模で騒音が大きく、利用発電効率が20%~40%台と低く、化石燃料を燃焼するためCO2も大量に発生する。これに比べ、Bloomエナジーサーバーは小型で騒音も小さく、発電効率は最高60%以上と商用では最高クラスの性能を誇る。発電時のCO2排出量も少ない。
都市ガスは被災確率が低い中圧ガス管で調達する。燃料電池本体は「大型の冷蔵庫」(幅1.14m×奥行き1.3m×高さ2.1m)とほぼ同じサイズの箱形の装置が2つセットになったものを1基とし、それが複数基連なって構成されている。200kW出力のタイプが約60㎡の広さに収まり、コンパクトな敷地があれば設置できるため、企業の空きスペースを有効活用することができる。
日本での導入第1号はソフトバンクモバイルの入居するM-TOWER(福岡市早良区)で、昨年11月から稼働している。
現在、関東圏では、東京汐留のほか、藤沢市でも稼動している。
東京汐留ビルディングに設置されているBloomエナジーサーバーの本体サイズは幅9.1×奥行き2.6×高さ2.1m。本体重量は19.9t。設置面積は約60㎡(メンテナンススペース含む)。出力規模は約200kWでソフトバンク本社の年間電気需要の約14%をまかなっている。
Bloomエナジーサーバーで発電された電力は、外灯や災害時用コンセントの電源としても活用されている。さらに、Bloom Energy Japanでは東京汐留ビルディングの地下駐車場に電気自動車用のEV充電スタンドを1基設置し、電気を無料で供給するとしている。
同社は、Bloomエナジーサーバーの展開にあたり、システムの初期導入費用がかからない電力供給契約も用意している。設置工事費も含め、月々の電気料金で支払う仕組みで25円/kWh、年間値上げなしの固定料金10メニューを用意。料金変動による顧客への影響を避ける。
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