判断の基準・視座たるコーポレート・インテグリティ
第14回:コーポレート・インテグリティの実践・具現化(2)

山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2022/06/29
スポーツから学ぶガバナンス・コンプライアンス
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
前回、社会にとって有用・有益な価値を提供するものとして、コーポレート・インテグリティを実践・具現化するには、具体的にどのような点に着目し、どのような方法を採用・実行することが考えられるかについて、EY Forensic & Integrity Services, Global Integrity Report 2020, p18及び同日本語版18頁を参考に、次のような整理をしました。
その上で、ガバナンスの構築・見直し、コンプライアンスプログラムの整備・改善は、それ自体が企業の目的・目標なのではなく、コーポレート・インテグリティを実践・具現化する手段・方法として位置づけるべきではないかとお伝えしました。
今回、コーポレート・インテグリティを実践・具現化することの手段・方法に関し、より具体的な視点・着眼点について考えてみたいと思います。
まず、コーポレート・インテグリティを実践・具現化するひとつとしてガバナンスの構築・見直し及びコンプライアンスプログラムの整備・改善に取り組む際に、その主軸として据えなければならないのは、企業が社会の一員・社会から生かされている存在として、社会からの信頼を獲得するという視点です。
このことは、これまでお伝えしてきたコーポレート・インテグリティの趣旨(企業の存立・存続のために社会からの信頼を獲得する不可欠の前提)に照らして、その論理的帰結として導かれるものです。
どのようなガバナンスを構築し、どのように見直すべきか、どのようなコンプライアンスプログラムを整備し、どのように改善すべきか、ということを検討する際には、当該企業が社会からの信頼を獲得することとの関係で有用なものであるかという視点から始め、そこを見失わないことが極めて重要になります。
この視点があってはじめて、ガバナンス及びコンプライアンスプログラムがコーポレート・インテグリティとの関係で有機的な仕組み・制度として形成され、機能することになるのです。
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