2018/07/06
防災・危機管理ニュース
着実に広がる顧客層、新たなステージへ
セキュリティ認証取得によって目に見える効果があったのが社内の組織体制だ。ISOが定める要求事項を全社員が共有できるようになったことは大きな変化。社内でも「もともと慣例的にやってきていたセキュリティ対策が明文化されることで改めて体系化され、社員同士の動きが見えやすくなった」と加納氏は実感する。
認証取得の審査の際、セキュリティ対応のインタビューを社内全員が回答できることに驚かれたことは、横井氏にとって大きな誇り。もうひとつ横井氏が強く印象に残るのは「日常業務の中でも『これってISMS的にいいんだっけ』という会話が社内で聞かれるようになった」こと。「社内に新たなセキュリティ基準が実装されたことの証。外部コンサルに頼らず、社員自らでやり抜いたことが実を結んだ」と横井氏は自信をみせる。
社外的にも、これまでサービス導入検討においてボトルネックとなってきた「セキュリティ対策」が解消されたことで、「ようやく比較検討のテーブルにつき、サービスの中身を吟味してもらえるようになった」(横井氏)。認証取得の成果か、これまで接点がなかった金融機関からも問い合わせが来るなど、顧客対象の範囲が着実に広がった。2018年5月には主力サービス「direct」の導入者数が1000社を突破。また既存顧客の大手企業が一部門の2000人採用から全社1万人へと採用に切り替えを検討する案件も舞い込んでいるという。
また、同じく同社のクラウド技術を使ったJR西日本「忘れ物チャットサービス」も半年間の試行期間を経て、2018年5月24日から本格サービスを開始。「窓口業務を3分の1に短縮できるとともに、1日あたり対応可能件数も増える」と好評を得た。「今後は全国の大手鉄道会社にも提案していきたい」と意気込む横井氏。認証取得を機に、同社は着実に新たなステージへと歩を進めている。

■「LisB社」公式サイト
https://l-is-b.com
■主力のビジネスチャットサービス「direct」。モバイル端末とチャットボット技術を駆使して、机に座らずに報告書を書く機能などを充実。「現場を持つ企業に向けたサービス」でシェアを伸ばす。
https://direct4b.com/ja/
■関連記事
クラウドセキュリティ認証 、国内企業の普及動向は?
一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)に聞く
http://www.risktaisaku.com/articles/-/7321
(了)
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