2023年4月からの月60時間超の割増賃金率の引き上げ
企業に求められる対応を解説

毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2023/03/15
ニューノーマル時代の労務管理のポイント
毎熊 典子
慶應義塾大学法学部法律学科卒、特定社会保険労務士。日本リスクマネジャー&コンサルタント協会評議員・認定講師・上級リスクコンサルタント、日本プライバシー認証機構認定プライバシーコンサルタント、東京商工会議所認定健康経営エキスパートアドバイザー、日本テレワーク協会会員。主な著書:「これからはじめる在宅勤務制度」中央経済社
2023年4月1日から、これまで中小企業への適用が猶予されていた月60時間を超える時間外労働に対する法定割増賃金率が、現行の25%以上から50%以上へと引き上げられます。そこで今回は、労働基準法の改正の内容および割増賃金率の引き上げに伴い中小企業に求められる実務上の対応について解説します。
2010年4月施行の改正労働基準法により、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%以上に引き上げられました。ただ、中小企業については猶予措置が設けられ、当分の間、適用が猶予されていました。この猶予措置が、いよいよ2023年3月いっぱいで廃止されることになり、2023年4月1日からは、大企業、中小企業ともに50%以上の割増賃金率が適用されます。
50%以上の割増賃金率は、1カ月の起算日からの時間外労働時間数を累計して60時間を超えた時点から適用されます。具体的な算出方法は、厚生労働省のリーフレットに示されています。
深夜労働や休日労働の取扱いについても、注意が必要です。月60時間を超える時間外労働を深夜時間帯(22:00から5:00)に行わせた場合は、75%以上の割増賃金率(50%以上の時間外割増賃金率+25%以上の深夜割増賃金率)で計算された割増賃金を支払う必要があります。
一方、休日労働についても、法定休日(週1日の休日)に労働させた場合は、35%以上の割増賃金率で算定された割増賃金の支払いが必要となりますが、法定外休日に労働させた時間は、時間外労働として算定した割増賃金を支払う必要があります。
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