4.本改正法案が企業の防災対策に与える影響


本改正法案では、災害緊急事態(※2)において国民に協力することを要求(重要な物資をみだりに購入しないなど)できる規定が盛り込まれたものの、企業の防災関連の活動を新たに直接的に規制するような規定は創設されてはいない。しかしながら、3.(4)で記したとおり、災害応急対策等に関する事業者については、前述の基本理念にのっとり、災害時において事業活動を継続する責務を有することが災害対策法制の中に位置づけられた。また、国や地方公共団体が災害対策関連の施策を実施する上で配慮すべき事項として、新たに民間の事業者等の協力の確保に関する協定の締結も盛り込まれた。

これまでの説明で明らかなように、東日本大震災を踏まえて政府の災害対策の考え方は大きく変化した。このため、今後本改正法案が成立すれば、災害発生時には、官民が連携し、必要な資源の大量・集中投入を行う必要があるとの観点から、行政は、企業に対して、災害時の応急対策や災害からの復旧・復興のために必要な対応について、積極的に依頼していく方向にさらに舵を切っていくと言っても過言ではない。

政府が主導する災害に強くしなやかな国づくりに向けた動きに対してあらかじめ備えておくとすれば、BCP(事業継続計画)をまだ策定していない企業については、その策定作業を進めることを通じ、事業継続の取組みの第一歩を踏み出すことが必要である。また、BCPをすでに策定済みの企業については、訓練やBCPの見直しなどBCM(事業継続マネジメント)の高度化を図ることが求められている。

※2 非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、閣議にかけて、関係地域の全部または一部について災害緊急事態の布告を発することができるとされている(災害対策基本法第105条)布告を発した後は、。政令を制定すれば、生活必需物資の譲渡制限等も可能であるとされているが、これまで布告された事例はない。

               〔2013年5月27日発行〕

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転載元:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 リスクマネジメント最前線2013 No.24
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