1月1日元旦のその日に、令和6年能登半島地震が起こりました。一時、大津波警報が出されました。実は、昨年末、年明け公開の予定で津波対策の記事をすでに書いていました。このタイミング(1月2日)では、救助や避難生活に関する話題のほうが、役に立つのかもしれません。しかし、今回の地震のように津波はまたいつ発生するかわからないので、少し手を加えて公開することにしました。(1月2日および1月10日加筆)

内容は、小学生が学校で取り組んでいる本気の防災の話です。

その小学校は、静岡市立清水三保第二小学校です。

三保といえば、日本三大松原と言われる「三保の松原」で有名な場所で、地形的には、砂嘴(さし)や砂丘がある場所です。砂嘴というのは、読んで字のごとく、砂によって形成された鳥の嘴(くちばし)のような地形の場所です。

画像を拡大 出典 国土地理院「重ねるハザードマップ」 赤いピンの立っているところが静岡市立清水三保第二小学校

小学校の立地している場所は、津波想定区域になっていませんが、津波は想定を超えて到達するともありますし、地形上、自宅や通学路や校外学習の場など、生活圏に津波が到達する場所が多く存在しています。

3方を海に囲まれる地形にあっては、近くに大人がいなくても、子どもたちが、自分自身で地震や津波から命を守ることができるようになることは特に重要です。学校教育の中でこれをどう伝えるか、悩んでいる学校や保護者も少なくないと思いますが、三保第二小学校ではこんなことを実施しました。

まず、小学校5年生を対象に、静岡の弁護士である永野海氏を講師に招き、津波避難マスター(津波避難すごろく)ゲームを実施しました。津波避難マスターのルールや実施方法については、永野氏のホームページに詳しく掲載されています。誰でもダウンロードして実施可能なゲームです。
 

写真 あんどうりす こちらは私が津波避難ゲームを兵庫県立大の学生向けに実施した時の写真です

津波避難マスターの内容とポイントは、永野氏が高校生向けに実施したワークショップを取りあげたSBS(静岡放送)news6の動画でご確認いただけます。

ここで、ゲームの内容から津波避難のポイントを簡単におさらいしたいと思います。

ゲームでは、津波避難の3つのSを学びます。

避難のスイッチ(Switch)を入れることと、安全な場所に逃げる(Safe)こと、そして安全な場所にとどまる(Save)です。

スイッチを入れる津波避難のタイミングは3つあります。

・大きな揺れがあった時
・津波警報が出た時
・揺れが小さくても1分以上の長い揺れがあった時

そして安全な場所に避難(Safe)し、その場にとどまる(Save)。ただ、このゲームではこの3つのSを説明して終わりではありません。例えば、クルマで津波から避難することは、渋滞に巻き込まれ、それにより津波に巻き込まれる可能性があるため、推奨はされていません。東日本大震災でも渋滞時に津波に巻き込まれた方もいます。ただ、能登半島地震では多くの方が津波から避難する際、クルマを使用されていたようです。クルマを使用したから避難できたというケースもあった可能性もあります。自然を相手にする際には、答えを単純なマルバツで出せるわけではないのです。正しい答えがわからない問題に対し、とりあえず、クルマで避難するのかどうか、できるのか、じっくり自分で考えてみるという事がこのゲームが教えてくれる最も大事なポイントです。

三保第二小学校の話に戻ります。

学校では、他にも、静岡大学大学院生や地区の防災リーダーの方を招いて防災のレクチャーを受けました。

このように講演を聞く、防災ゲームをするという学校は今まで他の場所でも実施していますよね。でも、この学校の子どもたちのすごいところは、聞いただけでは終わらせず、子どもたちが行動を起こしている点です。

画像を拡大 写真 永野海氏

上記写真にあるのは、子どもたちが保護者や先生、地域の人に、実践した内容を発表した時のプレゼン資料です。そこには、

•「全校の備蓄品の賞味期限が切れていないか確認しました!」
•「校長先生に自分たちで考えた避難訓練の提案をしました!」
• 地域のさまざまな場所に「ポスターを貼らせていただきました!」
• 地域にあるホームセンターに「備蓄品コーナーの設置をお願いしに行きました!」

という文字が写真とともに書かれてありますが、わかりますでしょうか?

子どもたちは4つの行動を起こしています。上の2つが学内での状況改善で、下の2つは地域を変えるための行動です。手身近に解決できる学内だけで終わらせずに、地域に飛び出して、地域を変えるために動くなんて、大人でもそうそう出来ることじゃありません。