第8回 カーボンフットプリント(CFP)の概念と動向
国内外の動向を解説
島崎規子
大学関係の主たる内容は、駒澤大学経済学部、城西大学短期大学部、城西国際大学経営情報学部大学院教授などを歴任し、同大学定年退職。城西国際大学では経営情報学部経営情報学科長、留学生別科長などを務めた。大学以外の主たる内容は、埼玉県都市開発計画地方審議会委員、財務省独立行政法人評価委員会委員、重松製作所監査役などを務めた。
2024/07/08
環境リスクマネジメントに求められる知識
島崎規子
大学関係の主たる内容は、駒澤大学経済学部、城西大学短期大学部、城西国際大学経営情報学部大学院教授などを歴任し、同大学定年退職。城西国際大学では経営情報学部経営情報学科長、留学生別科長などを務めた。大学以外の主たる内容は、埼玉県都市開発計画地方審議会委員、財務省独立行政法人評価委員会委員、重松製作所監査役などを務めた。
カーボンフットプリント(CFP : Carbon Footprint of Products)誕生の背景としては、京都議定書に基づき2012年までに国内のCO2排出量を1990年比で6%削減するための手段として設定されたことがあげられます。この目標達成のために、あらゆる商品・サービスのCO2排出量をCFPで「見える化」して、事業者や消費者に気づいてもらい、CO2排出削減を促進してきました。このようにCFPは、政府が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」実現の役割を担うなど、主たる目的や役割が多様化しながらも、その成果に期待が高まっています。国内外のCFPの動向を解説いたします。
①カーボンフットプリントの意味と概念
カーボンフットプリント(CFP)とは、カーボンラベリング(CL:Carbon Labelling)とも呼ばれ、直訳すると「製品の炭素の足跡」です。すなわち、商品の一生(原材料調達から廃棄・リサイクルまで)に排出されるCO2量を商品に表示して「見える化」(数値化または宣言)するしくみです。
製品のライフサイクル(製品の一生)には、製造する事業者だけでなく、原材料の調達、生産、流通、販売、使用、廃棄、リサイクルの段階において、それぞれの事業者や消費者が関わっています。そこで、CFPは、製品をテーマに、事業者と消費者が、共にCO2の排出削減を考え、取り組んで行くためのツールとして位置づけられ、究極的には、地球温暖化の原因であるCO2を減少させる手段として設定されました。
CFPの特徴は、①ライフサイクル・アセスメント(ISO:International Standardization Organization)国際規格ISO14040とISO14044手法を用いて算出すること、②タイプⅢ 環境ラベル(ISO14025)手法の2つを用いたコミュニケーション・ツールであること、の2つあります。
一般に、ライフサイクル・アセスメントは、あらゆる種類の環境負荷を対象としますが、CFPは、1製品当たりの温室効果ガスを対象としており、CFPの表示は、環境ラベリング制度の1つです。
このように、CFPは、事業者に対しては、サプライチェーン全体の排出量を「見える化」することで、削減効果率の高いポイントを把握し、企業単位を超えた一体的な削減対策で全体の最適化を実現できること、自社の環境負荷低減に対する取り組みを消費者にアピールできることに意義があります。また、消費者に対しては、自らの「CO2排出量を自覚」させて、環境負荷低減に向けた適切な消費行動のシグナルにするという意義があります。
② カーボンフットプリントのメリットとデメリット
CFPのメリットとデメリットを(A)事業者側におけるメリット、(B)消費者側におけるメリット、(C)事業者側におけるデメリット・課題に分けて示しますと、次のとおりです。
(A) 事業者側におけるメリット
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ⓐ自社製品が環境に与える影響を、広い視野でより具体的に見える。 |
(B)消費者側におけるメリット
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ⓐ製品を利用し、捨てる段階での環境への影響を意識できる。 |
(C)事業者側におけるデメリット・課題
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ⓐCFP-PCR(PCR:Product Category Rule)が複雑で、人員確保と算定が困難である。 |
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