2018/08/30
防災・危機管理ニュース
家庭内ルールが危機管理の基本
ディスカッションでは国崎代表がコーディネーターを務めた。国崎代表は自身が編集委員を務めた「東京くらし防災」から特に日常食べ慣れたものを少し多めに買い、消費して補充を繰り返す「日常備蓄」の重要性を紹介。発災時に被災者が多すぎて避難所に入れない可能性があることから「できれば自宅ですごすのが理想」と述べた。また「国崎家の防災マニュアル」と題した、連絡方法や待ち合わせ場所を定めた家庭内ルールを紹介。小池知事も「家族といざという時の対応を決めるのは危機管理のベース。国崎家はモデルケースだ」と評価した。
浅野共同代表は男性が住まいのある地域外に出勤する平日昼間に発災した場合、「地域に残った人は女性が多くなる可能性が高い」と説明。育児や介護を行っている女性も多いことから、地域や避難所において女性のリーダー的役割が重要であることを説明した。
2児の母でもある優木さんは離乳食など子ども用の食料やおむつなどの備蓄の重要性や、だっこひもをすぐに使える場所に置くことなどについて触れ、「おむつや服はすぐに子どもが大きくなってサイズが合わなくなることがある」と注意点を語った。
小池知事はほ乳びんや湯が不要な乳児用液体ミルクについて、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震で活用されたことを紹介。厚生労働省が液体ミルクの基準を決め、国内生産が可能となることから「来年秋には購入可能になるよう後押ししたい」と述べた。都では豪雨被災地の岡山県倉敷市と愛媛県に液体ミルクの支援を行った。
避難所でのプライバシー確保や性犯罪の防止について浅野共同代表は防犯ブザーや目隠しになる大判ストールなどの携帯を呼びかけたが、「大事なのは環境整備。気づいたことについては声をあげ、仲間を作って改善につなげること」と説明。小池知事は「3月に都の避難所運営のガイドラインを改訂した。男女でリーダーを務め、相談しやすい環境づくりをしたい」と述べた。
■関連記事
「東京都、備えを学び災害時役立つアプリ」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4914
「東京都地域防災計画震災編を修正へ」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5512
「乳幼児用液体ミルク、国内製造可能へ」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5278
「女性や多様性配慮した避難所運営を」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/5653
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
-
民間企業の強みを発揮し3日でアプリ開発
1月7日、SAPジャパンに能登半島地震の災害支援の依頼が届いた。石川県庁が避難所の状況を把握するため、最前線で活動していた自衛隊やDMAT(災害派遣医療チーム)の持つ避難所データを統合する依頼だった。状況が切迫するなか、同社は3日でアプリケーションを開発した。
2024/04/11
-
-
組織ごとにバラバラなフォーマットを統一
1月3日、サイボウズの災害支援チームリーダーである柴田哲史氏のもとに、内閣府特命担当の自見英子大臣から連絡が入った。能登半島地震で被害を受けた石川県庁へのIT支援要請だった。同社は自衛隊が集めた孤立集落や避難所の情報を集約・整理し、効率的な物資輸送をサポートするシステムを提供。避難者を支援する介護支援者の管理にも力を貸した。
2024/04/10
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月9日配信アーカイブ】
【4月9日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:安全配慮義務
2024/04/09
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方