2024/09/06
防災・危機管理ニュース
兵庫県の斎藤元彦知事は6日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、自身のパワハラ疑惑の告発文書を作成、配布した職員(7月に死亡)を公益通報者保護法に基づく保護対象としなかったことについて「瑕疵(かし)はない」と証言した。専門家は県による法令違反を指摘したが、斎藤氏は「公益通報に該当するとは思っていない」と述べ、主張が食い違った。
斎藤氏への証人尋問は先月30日に次いで2回目。百条委での審議を踏まえ、各会派は斎藤氏への不信任決議案を含めた検討を本格化させる。立憲民主党などの県議による「ひょうご県民連合」は9月議会に不信任案を提出する方針。県民連合と最大会派の自民党県議団は12日に斎藤氏に辞職を求める申し入れを行う。日本維新の会は来週にも方針を決める。
職員は3月中旬、告発文書を報道機関などに配布。4月4日には同様の内容を県の公益通報窓口に通報した。しかし、県は職員を保護対象とせず、5月7日に停職3カ月の懲戒処分とした。
斎藤氏に先立ち、参考人として出席した消費者庁公益通報者保護制度検討会委員を務める弁護士の山口利昭氏は、3月中旬に職員が文書を配布した時点で「公益通報者保護法上の外部通報に当たる」と述べた。
また、公益通報者として保護する前に真実かどうかの調査を行うことは「普通はない」と指摘。告発が不正を目的としていない限り、県は職員が不利益な取り扱いを受けないための措置を講じる義務があり、「今も違法状態が続いている」と述べた。
これに対し、斎藤氏は告発内容がうわさ話を集めていることなどを理由に「真実相当性がない」と主張。懲戒処分について職員が「公益通報の調査結果を待つべきだ」と進言したと証言したことには、「進言を受けた記憶はない」「手続きを取っ払って処分を早くしろとは言っていない」と述べた。百条委は今後、消費者庁に県の対応に違法性がないか見解を求める考え。
一方、贈答品を巡り、斎藤氏はカキ、カニ、ワイン、日本酒やスポーツウエアなどを受け取ったことを認めたが、ゴルフセットの受け取りは否定した。職員へのパワハラ疑惑については「私としては業務上の範囲だった」と釈明した。
〔写真説明〕兵庫県議会の百条委員会で、証人尋問に応じる斎藤元彦知事=6日午後、神戸市(代表撮影)
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- 公益通報者保護法
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/10/01
-
-
-
ERMにおける実行性の強化
企業は、リスクに対する組織の適切な行動を管理するためにオペレーショナルリスクとコンダクトリスクといったリスクカテゴリーを設定し管理を実施していることが多い。オペレーショナルリスク管理は、過去の操業上の失敗事例を分析して同種の事例の再発を予防するための管理である。換言すれば、過去・現在の状況を踏まえ、それを将来に延長して対応するフォワードルッキングなアプローチの一種といえる。他方、コンダクトリスク管理は、将来の環境が必ずしも過去と同様ではないことも踏まえ、組織行動の特徴を理解した上で、組織行動を律する根底の部分(組織文化と表現することもある)を意識して、不測の事態を招かないための制御を行う活動といえる。
2024/09/25
-
-
海外工場の労働環境を把握 課題を明らかに
「ミキハウス」のブランドでベビー服や子供服、靴、玩具などの販売を世界中に展開する三起商行が、委託先のミャンマー工場の人権侵害を指摘されたのは2016年11月だった。同社は第三者機関を設立して調査。結果をもとに工場に改善を依頼し、実行された。その後、各種方針や規範を策定し、2019年には人権デュー・デリジェンスの取り組みを開始。責任あるサプライチェーンの構築に力を注いでいる。
2024/09/25
-
Q&Aで解説 実務課題の超ヒント
「危機時の広報はどう連携する?」「DXで危機管理担当者の不足は解消する?」など、企業の危機管理担当者はさまざまな疑問を抱えながら業務にあたっています。本紙はこの半年間で聞いた読者の声を「Q(Question)」として集約、危機管理に詳しいコンサルタントに提示して「A(Answer)」をもらいました。実務課題の超ヒント、リスク管理・危機管理編の後編です。
2024/09/24
-
リスク評価はサプライヤーの協力が不可欠
人権を尊重したサプライチェーンの構築が求められている。先行して法整備を進めてきた欧州を中心に、各国で規制強化が進む。日本政府も2022年にガイドラインを策定し、取り組み支援に動き出した。人権デューデリジェンスに取り組むために、何が必要か。グローバルなプラットフォームでサプライヤーの労働環境を含めたESG関連の情報収集と分析、提供などを行うSedex。同社のインプルーブメントエグゼクティブである山本梓氏とリレーションシップマネージャーの日野陽介氏に聞いた。
2024/09/24
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方