年50回以上の住人交流イベントでコミュニティ形成

写真を拡大入居住民によるAED訓練

東日本大震災後に都内で最初に竣工した湾岸タワーマンション「プラウドタワー東雲キャナルコート」(2013年4月竣工、地上 52 階・地下2階、総戸数 600 戸)で5月25日、入居世帯の6割にあたる370世帯が参加する施工後初の防災訓練が行われた。入居者らでつくる管理組合が開催したもので、東日本大震災時に浦安のマンションで被災した経験を持つ副島規正理事長が中心となり企画した。訓練では、フロアごとの安否確認と防災センターへの報告訓練に加え、防災倉庫・備蓄の確認、各戸ごとの停電体験、その他、AEDの講習会や消火講習などが行われた。

マンションの防災訓練は全国的に行われているが、住民の参加率の低迷が大きな課題になっている。同管理組合では、「隣に誰が住んでいるかも分からないようなマンションでは、被災時に助け合えない」(副島理事長)と、全戸の入居直後から、「挨拶大会・井戸端会議大会」と称したコミュニティ形成活動を企画し、さらに、出身地ごとの県人会、フロア懇親会、“ママ会”などのコミュニティイベントを、1年間に50回以上も開催してきた。今回の訓練は、こうした入居者コミュニティを防災力に生かすことを目的に実施された。

訓練では、首都直下地震の発生を想定し、フロアごとに防災リーダーが中心となり安否確認を行い、防災センターへ報告するまでの流れを実働により検証した。
10時に「地震発生、身の安全を確保してください」「火災が発生している場合は、消火器で火を消して下さい」という館内放送が流れ、その後の「安否確認を行うため、指示に従って各フロアのエレベーターホール前に集まってください」という放送を合図に各フロア10世帯程の代表者が集まり、防災リーダーに安否を報告した。参集できなかった世帯に対しては、インターホンで安否を確認して回った。

管理組合では現在、51人の防災リーダーを指定しており、リーダー不在時には集まった中で部屋の番号の一番低い住戸の代表者がリーダーを代行することを決めている。防災リーダーは、フロアでの安否確認を終えると、5~8階ごと拠点階に設けられている防災倉庫前に移動し、各フロアの状況について情報を共有し、防災倉庫の中から無線を取り出し、1階の防災センターへ結果を報告した。途中、参集場所を間違う、無線の使い方に戸惑うなどといった場面もあったが、参加者からは「やはり訓練でやってみないと分からない」との意見も出されていた。

マンションでは、フロアをまたぐと無線の電波が届きにくいなどの課題があるが、事前に開催した防災研修会で、実際に無線のテストを行い、電波が届きにくい場所があるため中継器を設けて改善した。また、拠点階ごとに設けられている防災倉庫のカギが1階の防災センターで管理されていたため、各拠点階で暗証番号によりカギを取り出せるように見直したという。

1階の広場では、消防士を講師としたAED講習会や初期消火訓練などが行われ、親子で参加するなど、終日にわたり賑わいを見せていた。
副島理事長は「東日本大震災では生活水の確保に一番苦労した。エレベーターも長期間にわたり使えず、入居者同士が助け合うことが何より大切と感じ、そうしたコミュニティのあるマンションにすることを目指してきた。今後も1年に1回は全入居者を対象にした訓練を実施していきたい」と話している。

写真を拡大プラウドタワー東雲キャナルコート防災リーダーによる安否集計。一番右が理事長の副島氏  安否確認の結果を防災センターへ報告エレベーター体験には長蛇の列