2024/09/30
防災・危機管理ニュース
茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)で起きた臨界事故から25年となった30日、同村役場では職員約120人が、死亡した作業員2人の冥福を祈って1分間の黙とうをささげた。
黙とう後、山田修村長は「事故を決して忘れてはならない。事故を教訓として原子力安全を希求し続けることを肝に銘じてほしい」と訓示。政府や電力会社などに対して、「国民の理解や信頼はまだ十分ではない」として、説明責任を果たしていくよう求めた。
村出身で、今年4月に入庁した政策推進課の橋浦志穂さん(32)は、事故当時小学生で、雨戸を閉めるなどした記憶がよみがえったという。「村職員として、村民の生命や生活を守らないといけないと感じた」と気を引き締めた。
事故は1999年9月30日、JCO東海事業所の転換試験棟でウラン溶液を混合中に発生。核分裂反応が連鎖的に続く臨界状態が約20時間続き、放出された中性子線などでJCOの作業員2人が死亡、周辺住民ら660人以上が被ばくした。制限量を大きく上回る溶液を沈殿槽に注入したことが原因で、原子力事故の国際評価尺度(INES)では、上から4番目のレベル4(局所的な影響を伴う事故)だった。
当時の事業所長ら社員6人と法人としてのJCOが業務上過失致死罪などで有罪が確定。同社はウラン再転換事業の再開を断念し、関連設備の解体、撤去を続けている。
〔写真説明〕臨界事故から25年で、黙とうする茨城県東海村の職員=30日午前、同村
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- JCO臨界事故
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/10/01
-
-
-
ERMにおける実行性の強化
企業は、リスクに対する組織の適切な行動を管理するためにオペレーショナルリスクとコンダクトリスクといったリスクカテゴリーを設定し管理を実施していることが多い。オペレーショナルリスク管理は、過去の操業上の失敗事例を分析して同種の事例の再発を予防するための管理である。換言すれば、過去・現在の状況を踏まえ、それを将来に延長して対応するフォワードルッキングなアプローチの一種といえる。他方、コンダクトリスク管理は、将来の環境が必ずしも過去と同様ではないことも踏まえ、組織行動の特徴を理解した上で、組織行動を律する根底の部分(組織文化と表現することもある)を意識して、不測の事態を招かないための制御を行う活動といえる。
2024/09/25
-
-
海外工場の労働環境を把握 課題を明らかに
「ミキハウス」のブランドでベビー服や子供服、靴、玩具などの販売を世界中に展開する三起商行が、委託先のミャンマー工場の人権侵害を指摘されたのは2016年11月だった。同社は第三者機関を設立して調査。結果をもとに工場に改善を依頼し、実行された。その後、各種方針や規範を策定し、2019年には人権デュー・デリジェンスの取り組みを開始。責任あるサプライチェーンの構築に力を注いでいる。
2024/09/25
-
Q&Aで解説 実務課題の超ヒント
「危機時の広報はどう連携する?」「DXで危機管理担当者の不足は解消する?」など、企業の危機管理担当者はさまざまな疑問を抱えながら業務にあたっています。本紙はこの半年間で聞いた読者の声を「Q(Question)」として集約、危機管理に詳しいコンサルタントに提示して「A(Answer)」をもらいました。実務課題の超ヒント、リスク管理・危機管理編の後編です。
2024/09/24
-
リスク評価はサプライヤーの協力が不可欠
人権を尊重したサプライチェーンの構築が求められている。先行して法整備を進めてきた欧州を中心に、各国で規制強化が進む。日本政府も2022年にガイドラインを策定し、取り組み支援に動き出した。人権デューデリジェンスに取り組むために、何が必要か。グローバルなプラットフォームでサプライヤーの労働環境を含めたESG関連の情報収集と分析、提供などを行うSedex。同社のインプルーブメントエグゼクティブである山本梓氏とリレーションシップマネージャーの日野陽介氏に聞いた。
2024/09/24
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方