2024/10/23
防災・危機管理ニュース
被災地支援に取り組むボランティア団体「チーム中越」(新潟県長岡市)は、23日で発生20年となった新潟県中越地震で受けた支援の「恩返し」をしようと2008年、複数の支援団体が合同で立ち上げた。東日本大震災や熊本地震、能登半島地震などで続けてきた活動のカギは「つながり」にある。
チーム中越の河内毅理事らによると、中越地震では、個々の支援団体の連携不足から、必要な物資が必要な時に届かなかったり、個々の団体がそれぞれに被災者に困りごとや必要な物資を尋ねて回り、被災者側が困惑してしまうようなこともあったという。
苦い経験を教訓に、チーム中越では、参加団体が互いの活動を定期的に報告し合う場を設けている。定期的な集まりは11年の東日本大震災での支援で生き、河内理事は「どの団体が何を得意とし、どんな人たちを対象に支援しているかを把握しながら活動できた」と振り返る。
そんなチーム中越は、被災者自身の「主体性」も重視している。「中越地震では、高齢者が避難先で主体的に動く機会を失い、足腰が立たなくなってしまう事例が多発した」と河内理事。一方、他の被災者と交流したり、支援する側に回ったりした高齢者は「生き生きとしていた」と話す。
能登半島地震の被災地では、避難所内に喫茶スペースを設置した。被災者同士が情報交換し、語り合う場は、被災者自身が避難所運営などに取り組むきっかけになるのでは、との思いからだ。
「中越の復興は被災した地域の人たちが主体的に考えることで実現した」と河内理事。「復興支援は、被災者を主役に、みんなで考えることが大切」と強調した。
〔写真説明〕チーム中越の河内毅理事(右)と野村卓也事務局長=8日、新潟県長岡市
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- 災害ボランティア
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方