2024/11/03
防災・危機管理ニュース
【シリコンバレー時事】人工知能(AI)が、人間の代わりに仕事をする「AIエージェント」の時代が到来した。米オープンAIが公開した生成AI「チャットGPT」が、人間の意図に沿って文章を作る能力で世界に衝撃を与えてから2年弱。米顧客管理ソフトウエア大手セールスフォースや米マイクロソフト(MS)がこの領域に踏み込み、働き方に地殻変動を起こそうとしている。
◇AI、第3の波
「これがAIの第3の波、エージェントだ」。セールスフォースのベニオフ最高経営責任者(CEO)は9月に米カリフォルニア州で開いた年次開発者会議で語った。大量の過去データを基に需要や品質などを予測するAIは第1波、生成AIは第2波で、AIエージェントを次の潮流と位置付ける。
生成AIの開発が進み、文字、画像、音声とさまざまなデータを一括処理できるモデルが増えた。音声による応答速度も人間並みに向上し、これらの技術を結集したエージェントは、回答を示すだけでなく要望を実行する能力も備える。
セールスフォースやMSが提供するのは、エージェントの開発支援サービスだ。顧客企業が自ら収集してきたデータを取り込み、権限範囲を指定することで、事業内容に沿ったエージェントを短期間で開発できるようにする。
セールスフォースは開発者会議で、この製品を使った米高級百貨店チェーンのデモを披露した。エージェントが電話をとり、商品の配送状況を尋ねる質問に対し、配達日数を回答。店舗受け取りの選択肢も提示した。顧客役が店舗受け取りを選ぶと、従業員に伝えるとともに受け渡し可能となるまでの時間も示した。
◇反復作業を解消
従来の電話による自動応答システムでは、機械音声が選択肢を示し、利用者が該当する番号入力などをすることで、問い合わせ内容に応じて担当部署につなぐケースが多く見られた。生成AIを使えば、口頭で伝えるだけで済み、必要な手続きも進められるようになる。
AI半導体で圧倒的なシェアを握る米エヌビディアのフアンCEOは「エージェント同士が協力し、問題解決に当たるようになるだろう」と述べた。セールスフォースでAI開発を統括する「セールスフォースAI」のシャイCEOは「企業側のエージェントが、消費者側のエージェントと対話するようになる」と予想する。
セールスフォースの推計では、従業員の労働時間の4割が反復作業に充てられている。エージェントがこれを代替することで、従業員は複雑な注文や問い合わせに専念でき、顧客満足度の向上などサービスの価値を高めやすくなる。
〔写真説明〕米セールスフォースのベニオフ最高経営責任者(CEO)=9月17日、米サンフランシスコ
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/10
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/12/05
-
-
パリ2024のテロ対策期間中の計画を阻止した点では成功
2024年最大のイベントだったパリオリンピック。ロシアのウクライナ侵略や激化する中東情勢など、世界的に不安定な時期での開催だった。パリ大会のテロ対策は成功だったのか、危機管理が専門で日本大学危機管理学部教授である福田充氏とともにパリオリンピックを振り返った。
2024/11/29
-
-
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方