2014/08/29
防災・危機管理ニュース
北海道せたな町で最大23m
国交省や有識者らで構成する「日本海における大規模地震に関する調査検討会」(座長/阿部勝征(あべ・かつゆき)東京大学名誉教授)は26日、国として初めて日本海側に面した市町村ごとに予想される津波高の最大値を発表した。最も大きかったのは、北海道南西に位置し、奥尻島にも近い久遠郡せたな町の23.4m。北海道では14市町村で予想最大津波高10m以上となった。日本海は津波の発生を伴う地震減の分布に偏りがあるほか、これまで地震の発生は記録に残っていないが、その可能性を指摘される海域もあり、今後の地震発生について十分な検証ができていなかった。
検討会は、過去の地震・津波に関する痕跡結果に最新の科学的知見を加え、日本海側の地震や津波の発生要因となる60の海底断層を特定。50mメッシュで津波高を割り出した。
概略としては、全海岸線での津波の高さは北海道や東北の1部で15m以上があるものの、居住地の多い平地の沿岸での津波高は、日本海沿岸東部(北海道から福井)で高いところで概ね5m~12m。日本海沿岸西部(京都から九州北部)では高いところで概ね3m~4m。日本海で発生する津波の特徴としては、1)断層が浅く、高角であるため地震の規模に比べて津波が高い、2)断層が陸地に近いため津波到達までの時間が短い、3)日本海の海底地形の影響で、東北沖の津波が中国地方で高くなる場合がある-があげられるという。
検討結果を受け、2011年12月に施行された「津波防災地域づくりに関する法律」に基づき、各都道府県は津波浸水想定を設定。市町村は避難体制を強化する。
最大津波高15m以上の市町村は以下。
北海道 礼文町 17.6m
北海道 神恵内町 20.3m
北海道 蘭越町 15.9m
北海道 寿都町 16.5m
北海道 島牧町 19.1m
北海道 せたな町 23.4m
北海道 奥尻町 18.8m
青森県 中泊町 17.3m
青森県 深浦町 17.4m
石川県 珠洲市 15.8m

第8回 日本海における大規模地震に関する調査検討会 配布資料一覧
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/daikibojishinchousa/dai08kai/index.html
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方