2024/11/09
防災・危機管理ニュース
米大統領選で共和党のトランプ前大統領が返り咲きを果たし、同氏が掲げてきた主要政策の動向に日本企業が神経をとがらせている。自動車など製造業は、関税の大幅引き上げや再生可能エネルギー分野の補助金縮小を警戒。一方で法人減税や規制緩和など同氏の経済重視の姿勢について、事業環境の改善につながるとの見方があるほか、化石燃料「復権」への期待も聞かれた。
ホンダの青山真二副社長は、恒久的な形で関税引き上げが実現すれば「対象にならない国での生産を考えざるを得ない」と海外生産拠点の再編を迫られる可能性に言及。マツダの毛籠勝弘社長は関税への対応は「個社ではできない。国と国との関わりの中で輪郭がはっきりする」と述べ、政府間交渉の行方を注視する姿勢を示した。
住友電気工業の井上治社長は、東南アジアから米国へ輸出している機械制御部品に関し、「関税が上がるとその分はお客様に負担いただく形になる」と米国での価格競争力低下を懸念。ダイキン工業の竹中直文社長は、バイデン政権が導入した再エネ補助金の見直しなどによって「脱炭素の取り組みにブレーキがかからざるを得ない」と、米国での投資計画見直しを検討する考えを示した。
一方、トランプ氏が打ち出している法人減税は米国に拠点を置く日本企業を含めて企業収益を押し上げる。富士フイルムホールディングスの後藤禎一社長は「経済はプラスの方向に活性化する」とする米現地法人の分析を紹介。電気自動車(EV)関連製品で出遅れた大手電機メーカー幹部からは、バイデン政権下での急速な普及について「この勢いで伸びていったらうちは取り残される。少し落ち着いてくれた方がいい」と本音をのぞかせた。
三菱地所の梅田直樹常務は「不動産王」の異名も持つトランプ氏の経歴に触れ、「米国の不動産に追い風が吹いてほしい」と期待。米国で給湯器事業などを手掛けるリンナイの内藤弘康社長は「天然ガスなど従来のエネルギーを使っていくスタンスなので、悪い方向ではない」と脱炭素政策のアクセルが緩められることを歓迎した。
〔写真説明〕6日のホンダのオンライン決算説明会見で話す青山真二副社長
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方