特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【番外編➊】
フリーランス新法と労働関係法令との適用関係

山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2024/12/19
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2023(令和5)年4月に成立した「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下「フリーランス新法」)が本年11月1日から施行されて、1カ月以上が経過しました。フリーランス新法の概要については、第2章・第3章の規制を中心に、すでにご説明したところです※。
※特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【前編】
※特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)の概要【後編】
今回は、フリーランス新法と労働関係法令との適用関係についてご説明したいと思います。
フリーランス新法は、大要、「特定受託事業者」(2条1項)又は「特定受託業務従事者」(2条2項)たるフリーランスと、「業務委託事業者」(2条5項)又は「特定業務委託事業者」(2条6項)たる発注事業者との間の「業務委託」(2条3項)に関して適用される法律です。
一方、労働基準法や労働組合法をはじめとする労働関係法令は、「労働者」と「使用者」との関係や「使用者」の義務などについて定めている法律です。
このようにご説明すると、フリーランス新法と労働関係法令とは無関係であるとお考えになるかもしれません。しかしながら「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(令和3年3月26日 ・改定:令和6年10月18日、内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)(以下「フリーランスGL」)では、その適用関係について「フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合など、現行法上「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用される」(6頁)とされています。
つまり、形式的には業務委託契約・請負契約・準委任契約などを締結していても、実質的に判断して雇用契約・労働契約に該当すると判断される場合には、労働関係法令が適用されることになるのです。
弁護士による法制度解説の他の記事
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/24
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方