2025/01/21
防災・危機管理ニュース
海水温上昇など海洋環境の変化により、記録的な不漁や、魚の取れる時期や地域の変化など「海の異変」が続く中、日本財団と東京大大気海洋研究所、全漁連は20日、各地の若手漁業者が現場で集めた水温などのデータを研究者が分析し、対応策などに生かす枠組みを今年4月から本格化させると発表した。
同研究所の兵藤晋所長は「漁業者の皆さんから得られたデータをきちんと解析し、海で何が起きているのか、今後の対策に資する成果を得たい」と述べた。
全漁連によると、2010年ごろを境に、サケ類、サンマなど主要魚種の漁獲量が急減。若手漁業者の間からは「海洋環境の変化を感じる」「漁業が継続できなくなる」などの不安の声が上がっていたという。
研究者の側からは、海洋環境の急変に調査が追い付かず、漁獲物の変動を科学的に説明できるデータの不足が指摘されていた。
こうした中、日本財団などは今年度から、全国12道府県の13地点で若手漁業者が操業時に水温データなどを継続的に採取し、大気海洋研に提供する枠組みを構築。スマホアプリを使い、見慣れない魚の出現やサンゴの白化などの異常事象も報告できるようにした。
25年度からは全国20地点程度に増やすとともに、塩分濃度など収集データの種類も拡充。同研究所は分析を行い、漁業者と共に対応策の検討や提案を進めるという。
〔写真説明〕「海洋環境変化対応プロジェクト」を発表する日本財団の笹川陽平会長(中央)、東京大大気海洋研究所の兵藤晋所長(右)ら=20日午後、東京都港区
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/16
-
-
ラストワンマイル問題をドローンで解決へBCPの開拓領域に挑む
2025年4月、全国の医療・福祉施設を中心に給食サービスを展開する富士産業株式会社(東京都港区)が、被災地における「ラストワンマイル問題」の解消に向けドローン活用の取り組みを始めた。「食事」は生命活動のインフラであり、非常時においてはより一層重要性が高まる。
2025/09/15
-
-
機能する災害対応の仕組みと態勢を人中心に探究
防災・BCP教育やコンサルティングを行うベンチャー企業のYTCらぼ。NTTグループで企業の災害対応リーダーの育成に携わってきた藤田幸憲氏が独立、起業しました。人と組織をゆるやかにつなげ、互いの情報や知見を共有しながら、いざというとき機能する災害対応態勢を探究する同社の理念、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/09/14
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方