2025/03/05
防災・危機管理ニュース
【ニューヨーク時事】トランプ米大統領がメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を発動したことを受け、米景気の先行きに不安が高まっている。関税政策が矢継ぎ早に打ち出される中、物価高再燃への警戒感から消費者心理が悪化。トランプ氏は関税をてこに国内製造業の復活を狙うが、人件費など生産コスト高に対する企業の懸念は根強い。思惑通りに国内回帰が進むかは不透明だ。
米国は農産物の多くをメキシコやカナダに依存しており、関税賦課で輸入価格が上昇すれば、家計への悪影響は避けられない。経済政策に期待し、昨年11月の大統領選でトランプ氏に投じたニューヨーク在住の男性(27)は「食料品価格を抑えると約束していたのに残念だ。(生活が苦しくなり)みじめな思いだ」と嘆いた。
既に消費者心理が冷え込み、相次いで景気指標が悪化している。調査会社コンファレンス・ボードによると、1年間先の予想インフレ率は2月に6.0%と、前月(5.2%)から急伸。シニアエコノミストのステファニー・ギシャール氏は「予想される関税の影響など、さまざまな要素を反映している」と説明した。
トランプ氏が関税発動を断言したことを受け、3日の米株式相場は急落。代表的な株価指数のダウ工業株30種平均の下げ幅は一時900ドルを超えた。
トランプ政権は先月4日発動した中国に対する追加関税を10%上乗せし、20%に引き上げる措置も講じた。米中双方が関税をかけ合い世界経済が冷え込むリスクも抱える。「投資の神様」と称されるウォーレン・バフェット氏は米テレビのインタビューで「関税はある意味で戦争行為だ」と述べ、トランプ氏を批判した。
関税政策に呼応し、IT大手アップルは米国に5000億ドル(約75兆円)を投じる計画を発表。ただ、こうした動きは資金力のある一部企業に限られる。多くの企業は「関税が恒久的な措置になるのか見極める」(エコノミスト)ため、当面は様子見が続きそうだ。
〔写真説明〕トランプ米大統領=3日、ワシントン(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

- keyword
- 米国
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/16
-
-
ラストワンマイル問題をドローンで解決へBCPの開拓領域に挑む
2025年4月、全国の医療・福祉施設を中心に給食サービスを展開する富士産業株式会社(東京都港区)が、被災地における「ラストワンマイル問題」の解消に向けドローン活用の取り組みを始めた。「食事」は生命活動のインフラであり、非常時においてはより一層重要性が高まる。
2025/09/15
-
-
機能する災害対応の仕組みと態勢を人中心に探究
防災・BCP教育やコンサルティングを行うベンチャー企業のYTCらぼ。NTTグループで企業の災害対応リーダーの育成に携わってきた藤田幸憲氏が独立、起業しました。人と組織をゆるやかにつなげ、互いの情報や知見を共有しながら、いざというとき機能する災害対応態勢を探究する同社の理念、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/09/14
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/09/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方