2025/03/22
防災・危機管理ニュース
【シリコンバレー時事】米エヌビディアがカリフォルニア州サンノゼで開いた年次開発者会議が21日、閉幕した。人工知能(AI)向け半導体のさらなる性能向上の追求を表明。「チャットGPT」のような対話サービスを超えた半導体の活用を広げる周辺技術も追加投入する。特にロボットや自動運転を支える「フィジカル(物理)AI」を推進する姿勢が際立った。
「次の波が来ている。物理的な世界を理解するAIだ」。フアン最高経営責任者(CEO)は18日の基調講演で、フィジカルAIの重要性を強調した。摩擦や慣性、因果関係など物理法則を理解するAIは、ロボットや自動車が自律的に現実世界を行き交う未来には欠かせない。
今回の開発者会議では、世界基盤モデル(WFM)「コスモス」の本格提供を発表。人の動きなどを計2000万時間学習しており、センサー情報なども取り込める。仮想環境を作り、天候など膨大な条件でAIを訓練し、動作の精度を高められる。自動運転の安全性向上にも活用する。
人型ロボットでは、基盤モデル「Isaac GR00T N1」も発表。エヌビディアが事前にAIにデータを学習させており、ロボットが周囲を認識し適切な動作を選択する。開発者は、自社で保有するデータで変更を加えられる。
エヌビディアの技術は、ソフトバンクグループが投資する1Xテクノロジーズや、アマゾン・ドット・コムが出資するアジリティ・ロボティクスなどの新興ロボット開発企業が活用。エヌビディアは、ウォルト・ディズニーのロボット開発でも、グーグルと協力体制を築いた。
エヌビディアは、AIを支える高速処理にたけたデータセンター向けの半導体で、生成AIブームに乗る。一方で、アマゾンなどの巨大IT企業は自社半導体も開発している。製品・サービスの充実は、成長を維持する上でも重要となる。
〔写真説明〕米エヌビディアのフアン最高経営責任者(CEO)と、米ウォルト・ディズニーのエンターテインメント用ロボット「BDXドロイド」=18日、米カリフォルニア州サンノゼ
〔写真説明〕米エヌビディアの年次開発者会議でデモンストレーションする米新興企業アジリティ・ロボティクスの人型ロボット=20日、米カリフォルニア州サンノゼ
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/06/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方