2025/04/13
防災・危機管理ニュース
【ニューデリー時事】パキスタン政府が4月に入り、暫定的に滞在を認めてきた隣国アフガニスタン出身者の国外退去に着手した。国連によると、1日以降、約1万4100人を強制送還しており、国際社会では人道危機を招くとして反対する声が上がっている。
送還されたマンスール・ナザリさん(49)は、妻と子供5人の7人家族。今はアフガン東部ナンガルハル州に身を寄せる。「家族を養うため仕事を探しているが、簡単ではない。食べ物や住む場所もない」と嘆く。
パキスタンには紛争や政情不安に見舞われたアフガンから多数の人が逃れてきた。しかしパキスタン政府は2023年秋、国内で起きたテロにアフガン出身者が関与していたことを受け、治安の安定を名目に滞在許可を持たないアフガン人の一斉送還を開始。この措置により、約80万人が帰還を強いられたとされる。
さらにパキスタン政府は今年1月、「アフガン市民カード(ACC)」と呼ばれる身分証明書の保有を条件に一時滞在を認めてきた約80万人についても、送還対象に含めると決定した。ACCは公的書類を持たずに入国したアフガン人に発行されてきたが、制度運用を全廃した形だ。
ACC所持者の退去期限は3月末。従わない場合は強制送還すると定めており、パキスタンで約15年間暮らしてきたナザリさんも対象の一人だった。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは、イスラム主義組織タリバンがアフガンの実権を握った21年8月以来、同国の人権状況は悪化の一途をたどっていると指摘。「帰還民は、失業や崩壊した医療に直面する」と訴え、強制送還に反対している。
〔写真説明〕アフガニスタン国境に近いパキスタンの町チャマンで出発を待つ、移民やその荷物を乗せたトラック=11日(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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