2018/09/14
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
災害後に「赤紙」が貼られても住めない家の判定ではありません!
保険、医療、健康、困りごと・・さらには生活再建カルテも!
他にも保険制度の申請は、り災証明と似ているけど、別の制度だから、各保険会社に問い合わせるようにと、わかりやすく書かれています。

医療、健康、地域との困りごとまで悩みが書き出せるだけでなく、このノートの最大のすごさは、こちらのページにあります。

カルテのように、福祉相談員の方が相談した内容や、弁護士の方が答えた内容など、複数の支援者が支援した内容を共有できるんです。
同じ内容の相談がたらいまわしになったり、重複するのを防ぐことができます。被災した方が持っているものなので、自分自身でこれからの道を見つけていくステップにもなりますよね。この被災者生活再建ノートは、西日本豪雨の被災地でも大人気だったのです。
岡山弁護士会の環境保全・災害対策委員会委員長の大山知康弁護士( https://ameblo.jp/niimihimawari/ )は、西日本豪雨の災害後、すばやくこのノートを5000冊準備されました。そのうち2000冊は、岡山市の在宅避難者調査での訪問時の配布資料に採用されました。これは、岡山弁護士会と岡山市が連携してノートを活用し被災者の支援にあたった全国初の試みです。

大山先生によると実際に使用された被災者から
「役立つ制度や法律の情報が1つにまとまってるので助かる」 「 悩みや被害などから、自分自身で役立つ制度を見つけられるのも良い」との感想をいただいたそうです。
日弁連の災害復興支援委員会のメンバーが、過去の災害で集められた被災者の声をもとに、被災の苦労を少しでも軽減できるようまとめられたものですので、災害直後のするべきことの知恵の宝庫になっています。
台風でも地震でも使えますので、近年の様々な災害で被災したみなさまに是非、活用していただければと思います。
さて、このノートの根底には、ある理念があります。それは、こんなことです。今まで家の壊れ具合を基準に、お金の支援制度がありました。でも、それだけでは救われない、様々な被災状況が実際には存在します。そんなニーズに応えるためにひとりひとりの個別の状況にしっかり寄り添うという理念が貫かれています。これは災害ケースマネジメントと呼ばれる新しい考え方です。
この当たり前にみえる理念が実はいままでなかったんです。それは、被災者という定義が日本では存在していないという事にも原因があります。
そんな内容を次回、ひとりひとりに寄り添う被災者支援(災害ケースマネジメント)や、災害救助法の第一人者、津久井進弁護士にお聞きした内容を中心にお伝えしますね。
(了)
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