2025/06/12
防災・危機管理ニュース
量子科学技術研究開発機構(QST)などの研究チームは12日までに、うつ病などの気分障害を中高年で発症した患者の脳内には、同年代の健常者よりも高い割合で認知症を引き起こす異常なタウたんぱく質が蓄積していることが分かったと発表した。分析時点では患者の認知機能は正常で、成果は客観的診断に基づく認知症の早期発見や治療につながると期待される。
QSTは2020年、陽電子放射断層撮影(PET)で脳内のタウたんぱく質を高精度に画像化できる手法を開発。黒瀬心協力研究員と高畑圭輔主任研究員らは、40歳以降にうつ病や双極性障害などの気分障害と診断された患者52人と、同年代の健常者47人を対象に脳内のタウたんぱく質の蓄積による病変の有無や分布を調べた。
その結果、病変ありと判定された人は、健常者の14.9%に対し、患者は50.0%と高かった。また、妄想や幻覚などの症状がある人では、前頭葉や線条体など脳の特定の領域で蓄積量が増えていた。
これとは別に、死後に献体された脳の解剖結果208例も分析。40歳以降に気分障害を発症した21例中57.1%にタウ病変があった。うち一部は後に認知症を発症しており、気分障害の診断から認知症の症状が出るまで平均で7年たっていた。
〔写真説明〕40歳以降にうつ病などの気分障害を発症した患者の脳のPET画像。白い矢印は病的なタウたんぱく質の蓄積、オレンジは健常者にも見られる蓄積(量子科学研究開発機構提供)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/29
-
-
-
「想定外」を乗り越える力コカ・コーラ ボトラーズジャパンが挑む、危機管理の再構築
コカ・コーラ社製品の製造、販売、自動販売機のオペレーションなどを手掛ける、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社は、2024年の能登半島地震を機に、危機管理体制の再強化に乗り出している。直接的な被害は免れたものの、系列他社の被災や支援要請の集中を通じて、情報伝達や意思決定、業務の優先順位といった多くの課題が顕在化した。同社は今、グローバル基準の危機対応フレーム「IMCR」の再徹底を軸に、全社一丸の再構築に踏み出している。
2025/07/21
-
-
-
-
ランサムウェアの脅威、地域新聞を直撃
地域新聞「長野日報」を発行する長野日報社(長野県諏訪市、村上智仙代表取締役社長)は、2023年12月にランサムウェアに感染した。ウイルスは紙面作成システム用のサーバーとそのネットワークに含まれるパソコンに拡大。当初より「金銭的な取引」には応じず、全面的な復旧まで2カ月を要した。ページを半減するなど特別体制でなんとか新聞の発行は維持できたが、被害額は数千万に上った。
2025/07/10
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/07/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方