2025/08/04
防災・危機管理ニュース
【バンコク時事】タイ・カンボジア国境紛争は4日、両国の停戦合意から1週間が経過した。この間、大きな衝突は起きていないが、非難の応酬はやまず緊張状態が続く。避難所で自殺者が出るなど市民にしわ寄せが及ぶ中、両国はマレーシアで緊張緩和に向けた協議を始めた。
タイとカンボジアの本格的な戦闘は7月24日に始まり、これまで民間人を含めて40人以上が死亡。同28日に東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国のマレーシアや米中の仲介で停戦に合意したが、タイはカンボジア側が停戦発効後も攻撃してきたと主張し、カンボジアも今月3日に「タイが攻撃を開始する計画だ」と発表するなど互いの違反を訴えている。
タイ政府によると、タイでは国境付近の約8万人が現在も避難。カンボジアメディアによると、同国でも約16万人が家を離れている。
タイ東北部シーサケート県の教育施設では、約5000人が避難生活を送る。取材に応じた女性ピッサマイさん(50)は「隣の家に砲弾が落ちた。本当に怖くて、すぐに避難した」とこわばった表情で話した。
タイメディアによると、同ウボンラチャタニ県の避難所では7月31日、男性(65)が自殺した。家族によると男性は長年うつ病を患っており、避難後は「家に帰りたい」と訴えていた。
タイ保健省によると、今月4日までに医師らが7万4575人の避難民を診察した結果、6%の4269人が大きなストレスを感じており、うち417人は自殺の危険性があるとされた。同省は避難民の心のケア対策を強化している。
タイとカンボジアは4日からマレーシアで停戦の着実な履行などについて協議。7日の最終日には、米中も加わって今後について話し合う。
〔写真説明〕国境紛争を受け、避難所に逃れた住民=7月25日、タイ東北部スリン県(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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