自動車業界は、2026年度税制改正要望で、自動車関連の税の負担減と簡素化を強く求めていく方針だ。トランプ米政権の高関税政策で日本の生産拠点の海外移転や産業空洞化が懸念される中、日本自動車工業会の後藤収税制部会長(日産自動車理事)はインタビューで「市場の活性化が緊急の課題だ」と危機感を表明。国内の生産を維持するため、税負担を軽減することで国内需要の拡大を図るよう訴えた。
 自工会によると、24年の日本メーカーの海外生産比率は約66%。輸出分を現地生産に転換するなどした影響で、四半世紀ほど前の1998年(約35%)と比べ2倍近くに拡大した。現在、多くのメーカーは米高関税を避けようと米国での生産拡大を検討中で、国内生産縮小が一段と加速しかねない状況だ。
 一方、国内販売は90年度をピークに減少傾向。後藤氏は「内需は(日本メーカーの)足腰なので、しっかり鍛えないといけない」と強調。工場が流出すれば「自動車産業を日本に残すことができなくなる」として、内需を刺激するためにも「自動車税制の抜本改正に取り組んでもらいたい」と語った。
 自工会は税制要望で、車を取得する際、環境性能に応じて課される「環境性能割」の廃止を求める方針。排気量に応じた自動車税と車体の重さに応じた自動車重量税を重量税に一本化し、環境性能に応じて減税する制度の導入も求める。
 与野党はガソリン税の暫定税率を年内に廃止することで合意したが、後藤氏は重量税の旧暫定税率分の廃止も課題だと指摘。「一般財源化されたことで(旧暫定税率の)役割は終わっている」と述べ、廃止を訴えた。 
〔写真説明〕インタビューに答える日本自動車工業会の後藤収税制部会長=7月31日、横浜市の日産自動車本社

(ニュース提供元:時事通信社)