環境省は、高齢者が自宅など室内で熱中症になるのを防ぐため、対策強化に乗り出す。「暑さ指数」の値を確認し、熱中症の危険性が高い場合は地域の民生委員らがエアコンの使用を呼び掛ける。熱中症予防に役立つエアコンの技術開発も支援する。2026年度予算概算要求に関連経費10億円を計上した。
 高齢者は、体温調整や発汗の機能が低下することから熱中症にかかるリスクが高いとされる。エアコンの風に当たるのが苦手で、暑い日でもあまり使いたがらない高齢者もいる。総務省消防庁によると、24年5~9月に熱中症で救急搬送された人の57.4%が65歳以上の高齢者で、発生場所は住居が最も多く、38.0%だった。
 そこで環境省は、高齢者の予防意識を高めるため、見守りや呼び掛けを推進するモデル事業を始める。気温や湿度から算定する「暑さ指数」の測定器を高齢者に配布し、自宅に設置してもらう。民生委員や自治体職員らが訪問時に値を確認しエアコンの使用を促すことなどを想定している。
 メーカーの技術開発も支援する。暑さによる健康被害が懸念される場合に注意を促す「熱中症警戒アラート」が発令された際、人工知能(AI)などを用いて高齢者宅のエアコンを自動で起動させる技術などを普及させ、発症や死亡のリスクを減らす。
 政府は、22年までの5年間の平均で約1300人だった熱中症による死者数を30年までに半減させる目標を掲げるが、24年は2000人超で過去最多を更新した。 
〔写真説明〕高齢者が室内で熱中症になるのを防ぐための対策が求められている(イメージ)

(ニュース提供元:時事通信社)