【マニラ時事】フィリピン・マニラ首都圏で21日、洪水対策を巡る汚職に抗議する大規模なデモが行われた。台風などによる洪水被害が頻発する中、予算が支出されても事業が行われない「幽霊事業」の存在が明らかになり、国民の間で批判が強まっている。
 「腐敗した政府を一掃せよ」「汚職に関与した人は刑務所に」。21日、マニラ中心部のリサール公園に集まったデモ隊が声を上げた。主催団体によると、参加者は10万人に上る。
 デモ隊の一部はマラカニアン宮殿に向かう途中で警察と衝突。石を投げたり警察車両に火を付けたりして、拘束者も出た。参加した男性(19)は、「私たちが洪水で流されても、柔らかいベッドの上で楽しんでいるやつらがいる」と怒りをあらわにした。
 幽霊事業に注目が集まったのは、7月にマルコス大統領が国会演説でこの問題を取り上げたのがきっかけ。その後、手抜きや着工遅れといった問題のある事業が次々と明らかになった。政治家への資金還流の疑いも出ている。 
〔写真説明〕21日、マニラで警察と衝突するデモ参加者

(ニュース提供元:時事通信社)