◇あいまいで共感得られず
 柯隆・東京財団主席研究員の話 中国共産党が23日に発表した第20期中央委員会第4回総会(4中総会)のコミュニケは「科学技術力、総合的な国力を高める」など、あいまいな目標ばかりだ。国民の共感が得られるものではなかった。
 中国では、景気の低迷が続いていて若者の失業率も高い。コミュニケは2025年までの5カ年計画を達成する見通しだと強調しているが、国民に実感はない。26年からの5カ年計画に関しては具体的な景気浮揚策が何も書かれておらず、数値目標もなかった。
 習近平党総書記(国家主席)の一強体制のため、党内から不満が出ることはもちろんない。ただ、今回の発表は本来、全国民に対して具体策を訴えて求心力を高めるべきものだが、それはできていない。
 ◇厳しい経済状況反映
 興梠一郎・神田外語大教授(現代中国論)の話 中国共産党の第20期中央委員会第4回総会(4中総会)のコミュニケは厳しい経済状況が反映された。雇用安定や内需拡大を目標に設定しているが、言い換えれば、高い失業率や景気の低迷を習近平政権が課題だと認識しているということだ。
 対応策として掲げられているのが、人工知能(AI)などハイテク技術の開発を推進する「質の高い発展」だ。ただ、現実問題としてハイテク技術の開発が雇用安定や内需拡大につながるとは限らない。
 中央軍事委員会副主席に昇格した張昇民氏は、習国家主席にとって地方勤務時代からの側近ではない。しかし、同委の規律検査部門に所属していた人物で、反腐敗に向けて党内を引き締める意図がありそうだ。 
〔写真説明〕柯隆 東京財団主席研究員(本人提供)
〔写真説明〕興梠一郎 神田外語大教授(本人提供)

(ニュース提供元:時事通信社)