2025/11/03
防災・危機管理ニュース
【ニューヨーク時事】ブラジルのベレンで10日開幕する国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)に、米国は政府代表団を派遣しない見通しだ。トランプ大統領は気候変動を「史上最大の詐欺」と否定し、国連にも批判的。最大の経済大国で二酸化炭素(CO2)排出量も中国に次ぎ2番目に多い米国の欠席で、世界的な気候変動対策の機運に水が差される恐れがある。
米国は2017年に発足した第1次トランプ政権で地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から離脱。バイデン前政権下で復帰したが、今年1月の第2次トランプ政権発足に伴い、再び離脱を国連に通知した。米議会関係者によると、政権がCOPに閣僚や代表団を送る兆しはない。
米メディアは先週、ホワイトハウスがCOPに高官を派遣しないと明らかにしたと伝えた。
ただ、米国がパリ協定を実際に抜けるのは規定により来年1月のため、政権はCOPの協議に関与したければ可能だ。同関係者は「この政権は非常に気まぐれで、土壇場で気候変動否定論者や化石燃料産業のスパイを送り込むこともできる」と指摘。あえて出席し、各国による対策推進の議論を阻害するシナリオにも警戒する。
米国がただ不在なだけでも影響は大きく、各国の温室効果ガス排出削減への意欲をそぐことが懸念される。途上国の排出削減や温暖化への適応を支援する資金も一層不足する。
連邦政府が気候変動問題に背を向ける中、対策推進派の州知事や市長、企業関係者ら約100人で構成する団体はCOPに参加し、存在感の発揮を目指す。オバマ政権で環境保護局(EPA)長官を務め、団体を率いるジーナ・マッカーシー氏は「米国の人口の3分の2、国内総生産(GDP)の4分の3を占める地域を代表し、気候変動対策を支援する」とアピールしている。
〔写真説明〕「パリ協定」からの離脱を通知する国連宛ての書簡を持つトランプ米大統領=1月20日、ワシントン(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスクマネジメント体制の再構築で企業価値向上経営戦略との一体化を図る
企業を取り巻くリスクが多様化する中、企業価値を守るだけではなく、高められるリスクマネジメントが求められている。ニッスイ(東京都港区、田中輝代表取締役社長執行役員)は従来の枠組みを刷新し、リスクマネジメントと経営戦略を一体化。リスクを成長の機会としてもとらえ、社会や環境の変化に備えている。
2025/11/12
-
入国審査で10時間の取り調べスマホは丸裸で不審な動き
ロシアのウクライナ侵略開始から間もなく4年。ウクライナはなんとか持ちこたえてはいるが、ロシアの占領地域はじわじわ拡大している。EUや米国、日本は制裁の追加を続けるが停戦の可能性は皆無。プーチン大統領の心境が様変わりする兆候は見られない。ロシアを中心とする旧ソ連諸国の経済と政治情勢を専門とする北海道大学教授の服部倫卓氏は、9月に現地視察のため開戦後はじめてロシアを訪れた。そして6年ぶりのロシアで想定外の取り調べを受けた。長時間に及んだ入国審査とロシア国内の様子について聞いた。
2025/11/11
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/11
-
-
-
第二次トランプ政権 未曽有の分断の実像
第二次トランプ政権がスタートして早や10カ月。「アメリカ・ファースト」を掲げ、国益最重視の政策を次々に打ち出す動きに世界中が困惑しています。折しも先月はトランプ氏が6年ぶりに来日し、高市新総理との首脳会談に注目が集まったところ。アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に、第二次トランプ政権のこれまでと今後を聞きました。
2025/11/05
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/11/05
-
-
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方