【ベルリン時事】チェコのパベル大統領は9日、ポピュリズム政党「ANO」党首のアンドレイ・バビシュ前首相(71)を新首相に任命した。バビシュ氏は「チェコのトランプ」とも呼ばれる富豪で、「自国第一」を掲げて10月の総選挙を制した。
 バビシュ氏は任命を受け、「国内だけでなく世界でも、チェコ市民の利益のために闘うことを約束する」と述べた。同氏は、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)加盟国としての利点を重視する。ただ、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援には消極的だ。
 チェコでは11月、ANOと極右政党「自由と直接民主主義(SPD)」と反環境規制の新党「モータリスト」が連立協定を締結した。来月にも議会承認を経て、新政権が正式発足する見通し。ハンガリーやスロバキアに続き、EU執行部との確執が生じる可能性がある。

 

 ◇アンドレイ・バビシュ氏
 アンドレイ・バビシュ氏 1954年9月2日、ブラチスラバ(現スロバキア首都)生まれ。チェコの農業系複合企業アグロフェルトの創業者で、国内屈指の富豪。今回の首相任命に際し、同社の経営権を恒久的に放棄すると誓約した。2017~21年にも首相を務め、自社に有利な政権運営をしているとの汚職疑惑にさらされた。 
〔写真説明〕チェコの「ANO」党首のアンドレイ・バビシュ前首相=11月26日、プラハ(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)