【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州委員会は17日、環境規制が緩い国からの輸入品に事実上の関税を課す「炭素国境調整措置(国境炭素税)」の対象を拡大する法案を発表した。生産過程で多くの二酸化炭素(CO2)を排出する鉄鋼やアルミニウムなどは既に対象だが、これらを素材として多用する建設機械や自動車部品、洗濯機を含む一部家電など180品目も適用範囲に加える。
 国境炭素税は2023年にEUが世界で初めて導入し、26年1月から本格運用が始まる。EU域内ではCO2排出に伴う追加コストが企業に課されている一方、規制の緩い国からの輸入品は同様の負担を免れている。公平な競争条件を確保することにより、域内企業が生産拠点を域外に移す「規制逃れ」を防ぐ狙いがある。
 新たに対象となる製品の94%は生産過程で使われる機械や部品、部材といった産業用の中間財で、残りは家庭用製品に当たる。貿易量や原材料比率、CO2排出量などの指標に基づき選定し、手続きが複雑になり過ぎないよう、温暖化対策上の効果が大きい製品に対象を絞る。欧州議会と加盟国の承認を経て、28年1月の発効を目指す。 
〔写真説明〕欧州連合(EU)欧州委員会の本部ビル前に掲げられた欧州旗=12月15日、ベルギー・ブリュッセル(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)