2025年の特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害額が計3241.1億円(暫定値)に上り、共に過去最悪を大幅に更新したことが12日、警察庁のまとめで分かった。警察官を装って金銭を送らせる「ニセ警察詐欺」が急増し、生成AI(人工知能)を活用するなど手口も巧妙化。認知件数も過去最多で、被害に歯止めがかからない深刻な状況になっている。
 特殊詐欺の被害額は前年比695.4億円増の1414.2億円。このうち、増加分の大半とみられるニセ警察詐欺の認知件数は1万件超、被害額は計985.4億円で、それぞれ特殊詐欺の約4割と約7割を占めた。
 主な手口は国際電話からLINEのビデオ通話に誘導し、「あなたの口座が犯罪に使われた。潔白を証明するなら資産を提出する必要がある」などと持ちかけるもの。全資産を詐取されて被害が膨らむ傾向があり、平均被害額は910.8万円、10~80代以上の幅広い世代が被害に遭った。
 SNS型投資詐欺の被害額は前年比1.4倍の1274.7億円。SNSなどで著名人や公的機関を装い投資を呼び掛ける手口で、25年はユーチューブのバナー広告やインスタグラムのダイレクトメッセージから誘導された被害が急増した。
 ロマンス詐欺の被害額は552.2億円で前年比37.8%増。マッチングアプリによる接触が多く、40~60代の被害額が4分の3を占めた。
 警察庁は、スマートフォンを通じたSNSやインターネット決済など、非対面の生活様式の定着が被害拡大の背景にあると分析。ネットバンキングや暗号資産を用いた送金被害が増え、銀行員やコンビニ店員による抑止が難しくなっているという。AIに映像や文章の作成、自動音声応答をさせて言語や地域の壁を越えるなど、手口も巧妙化している。
 同庁は詐欺拠点が多い東南アジアの各国当局との連携や、警察官が闇バイトへの応募を装う「仮装身分捜査」などの新たな手法導入で組織撲滅を目指す。加えて国際電話の遮断機能などを持つ推奨防犯アプリの普及で被害防止を図る方針だ。 
〔写真説明〕警察手帳と識別章

(ニュース提供元:時事通信社)