2011/07/25
事例から学ぶ
基地局の流出などに対応
ソフトバンクグループの1 社で携帯電話事業のソフトバンクモバイル株式会社(本社:東京都港区、社長:孫正義)は、基地局が流失したり伝送路が切断するなど、広い範囲で被災した。通信インフラの脆弱性が指摘されながらも、同社ではBCP(事業継続計画)に基づいた対応により早期復旧に努めた。
3500 以上に及ぶ基地局の被害最も大きな被害となったのは、基地局の被災によるネットワークの断絶だ。地震と津波の影響により、基地局そのものが流失したり、伝送線の障害のため基地局が機能しなくなることが東北地方を中心とした各地で見られた。震災後の翌12 日には、3786 局で携帯電話が通じなくなるなどの影響が出たことが確認されている。
基地局の復旧作業は、同社のBCP に従い、被災した当日から開始した。BCP の中で、停電対策として基地局に予備電源や発電機を搭載していたことや、複数の基地局を結ぶ伝送路にバックアップ用の迂回路を設けるなど対策を整えていたことが復旧に役立ったという。作業に当たったのは、800 名近い技術者メンバー。甚大な被害を受けた地域の基地局に移動基地局車10 台を出動させたほか、伝送路が切断した基地局には衛星回線を活用した通信対策を施した(写真)。さらに、社内公募で集まった440 名のボランティアメンバー
が、現地で被災された人を対象に、携帯電話の貸し出しなどユーザーのサポート業務にあたった。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/12/05
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方