2019/03/06
講演録
1月24日・東京都中小企業振興公社フォーラムより
私どもが作る「獺祭」というお酒は、全て「山田錦」を使い、全て純米大吟醸、それを年間通して醸造することが特徴です。年間通して新鮮なものを作れますし、稼働率も非常によくなります。
2018年7月6日の西日本豪雨では、山口県岩国市にある私どもの酒蔵の上流地域の山の土砂が崩れ、目の前の川がダムのようになりました。普段は20〜30cm程度の水量ですが、それが3m以上の石垣を超えて酒蔵の方に溢れてきました。私は営業メンバーとの会議のため東京に出張していましたが、急遽、当日初便の飛行機で戻った次第です。山口県は災害もあまりない県ですので非常に驚きました。
まずは従業員の安否確認を行い、全員の無事が分かりました。ただ、地域全体では、近所のおじいさんが1人、土砂にのまれて亡くなってしまいました。施設の被害状況としては70〜130 cmの床上浸水を受け、地下の排水設備が動作不能になりました。倉庫内の米や、瓶などの資材についても完全に水没していました。
7日に電力復旧の見込みが1〜3カ月と分かりました。非常用発電機も水没しており、年間通して6〜7℃に設定している発酵室の温度制御ができない。当時、タンク150本分のお酒が発酵中でした。また、地下の排水設備がストップしたことで瓶詰めの設備も停止しました。一方、顧客データは2階のサーバーに残っており、在庫も約1カ月分あるということで、当面はなんとかなることが分かりました。
- keyword
- 東京都中小企業振興公社
- 獺祭
- 旭酒造
講演録の他の記事
おすすめ記事
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/19
-
-
-
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方