■カスタマーサポート部門が抱える問題

ところで、一般にコストセンターとみなされる部門には経理や総務、カスタマーサポート、場合によっては工場なども含まれる場合がある。ここでカスタマーサポートを例にとろう。カスタマーサポートは、自社の製品やサービスを購入した顧客の不満や疑問の解決に応えるための一連の活動である。

カスタマーサポートは収益にならず、費用がかさむものとして敬遠する企業もあり、格好のコスト削減のターゲットとなっているところもある。コスト削減の方法としては人件費の削減やアウトソーシングがあるだろう。しかし数字だけをにらんだコスト管理は負の連鎖を招く。

サポートスタッフ一人あたりの負荷が増大する。賃金が安ければモチベーションの低下につながる。アウトソーシングを始めたとたんにサービス品質が落ちてクレームが増えたり、会社にとって必要なノウハウが蓄積されなかったり漏えいしたりといった話も聞く。

コスト削減の定石としてサポートスタッフが非正規社員であることも少なくない。加えて苦情対応などストレスのかかる業務が多いため離職率も高い。人材の流動が激しいということは、人員補充のコストもかさむということである。

もちろん、すべての会社のカスタマーサポート部門がこのようなものだという意味ではない。カスタマーサポートをコストセンターとしてではなく、プロフィットセンター(直接的、間接的に利益を生み出す部門)とみなし、顧客満足度やサービス品質向上のために積極的に取り組んでいる会社もある。