2019/07/19
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■ 甘い言葉の背後に「動機」が存在する
実は、このような事例は枚挙にいとまがありません。多くの日本人はこのような問題が生じると、まずは管轄する日本領事館へ相談に行くのですが、領事とて忙しい中一つ一つ親身になって解決を手伝ってくれるわけではありません。海外でのこのような問題はどこまでも自己責任となります。
先の例では、「妊娠証明書」なるものが動かぬ証拠となっていました。しかし、果たして本当にそれはAさんとの関係に依るものでしょうか? それは、誰にも分かりません。また、さらにいうなら本当に妊娠していたのでしょうか? 証明書自体も本物なのでしょうか? 探し出せばいくらでも疑問点は存在します。Aさんからお金を巻き上げようとすればいくらでも偽装することは可能なのです。上海に来て間もないということも事実かどうか疑問です。
全ての問題の根幹は、Aさんの脇が甘かったことに尽きます。
日本でも当たり前ですが、中国においても20歳もの年齢が離れた若い女性が何の理由(何らかの目的を持った動機)もなしに50歳にもなる男性を好きになることはほとんどありません。決してそのような愛情を否定するわけではありませんが、男女の問題は日中間においてもさほど大きな違いはないのです。
しかし、中国というこれまで経験したことのない外国生活の中、錯覚や誤解をしてしまったのかもしれませんし、一時の喜びに「誤解をしたかった」のかもしれません。
中国では、「日本とは違う常識」が働いていると思い込んでいる人も多いようです。しかし、たとえそうだとしてもここは外国、日本人の代表であるという自制心を持って駐在していただきたいのものです。
(了)
日本企業が失敗する新チャイナ・リスクの他の記事
おすすめ記事
-
ランサムウェアの脅威、地域新聞を直撃
地域新聞「長野日報」を発行する長野日報社(長野県諏訪市、村上智仙代表取締役社長)は、2023年12月にランサムウェアに感染した。ウイルスは紙面作成システム用のサーバーとそのネットワークに含まれるパソコンに拡大。当初より「金銭的な取引」には応じず、全面的な復旧まで2カ月を要した。ページを半減するなど特別体制でなんとか新聞の発行は維持できたが、被害額は数千万に上った。
2025/07/10
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/08
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/07/05
-
-
-
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方