2014/09/20
C+Bousai vol1
広島土砂災害の教訓
住民の責務
今度は住民の行動について考えてみたいと思います。同市の水防計画では、「市民の役割」として、気象台から大雨警報が発表された場合、警戒基準雨量を超えた場合などにおいては、テレビ・ラジオ等を通じて、状況の推移を見守るとともに、「災害時要援護者など特に避難行動に時間を要する者は、避難行動を開始すること」など自主避難の項目を定めています。災害対策基本法においても、国や自治体だけでなく、住民の責務を定めていますが、防災においては住民にも責務があることを、どれだけの人が認識しているでしょうか。
広島市佐伯区の河内地区では、平成11年6月29日に広島市を襲った集中豪雨「6・
29豪雨災害」において、死者10人を出すなどの大災害に見舞われたことから、「忘れまい大災害」を記した石碑を建て、熱心な自主防災活動を行っているそうです。
広域合併などにより市町村の管轄範囲が広がる一方で、財政負担を減らすため職員数は減少傾向にあり、特に基礎自治体の負担は大きくなっています。こうした中、住民自らの自助と共助の、市町村単位よりさらにきめ細かい地区防災が今後一層求められてくるでしょう。
今回の問題は、土砂災害という自然環境だけがもたらしたものでしょうか? 過去に被害を受けた場所で、時間の経過とともに、一軒、二軒と家が建ち並び、街が広がり、どんどん危険地域が膨らんでいく。津波や洪水も同じです。その自然環境下で暮らす以上、リスクを把握し、自分たちで自分たちの命、生活を守っていくしかないことに気付かなくてはいけない。その上で行政と住民の新たな関係を構築していくことが重要だと思うのです。
(執筆 リスク対策.com 編集長 中澤幸介)
C+Bousai vol1の他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方