2019/08/06
インタビュー
あいおいニッセイ同和損保、横国大と
イギリスに本社を置く再保険ブローカー大手であるエーオン。その日本法人傘下にあるエーオンベンフィールドジャパンはあいおいニッセイ同和損害保険、横浜国立大学と産学共同研究を実施。その成果として、災害発生時の被災建物予測棟数を市区町村ごとに1時間単位更新によりリアルタイムで公開するサイト「cmap.dev(シーマップ)」を開設した。世界でも前例がないというこの試みについて、同社再保険部門の工学博士である岡崎豪氏に話を聞いた。
シーマップでは台風、豪雨、地震による被害が発生した際に、直後から建物被災棟数や被災率を市区町村ごとに予測し、地図上に表示を行う。また、このシステムは幾重のデータを基に予測を実施している。気象庁の観測データや国立情報学研究所の現在と過去の震度情報、さらには米国海洋大気庁(NOAA)の現在の風速データと過去の台風データに加え、横国大の持つ1959年の伊勢湾台風のデータも活用されている。現在のみでなく、過去のデータが分析には大きく役立つという。
これら基礎データを基に、分析用サーバーで被害予測を行うが、この際には建物データベースと過去の保険金支払いデータが使われる。過去の保険金支払いデータはあいおいニッセイ同和損保が提供する。建物データベースは精度向上のため、日本中全ての建物に相当する約5000万棟の航空写真を取得した。「台風により最も被害が発生しやすい部位は屋根であるため、屋根の情報が欲しかった」と岡崎氏は語る。日本の屋根は主に5分類。まっ平らな陸屋根が最も被害が少なく、日本瓦を用いた複雑な屋根形状である入母屋屋根は最も被害が大きい。この屋根の形状を個別に把握することがこれまで難しかったが、航空写真にディープラーニングを適用して画像を判別、屋根の形状を把握することで被害予測の精度が向上した。
インタビューの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方