2019/08/05
企業よ、サイバーリスクに備えよ
WannaCryと内部拡散について
2017年に猛威を振るったWannaCryなどはランサムウェアというマルウェアの一種です。ランサムウェアというのは利用者PCのハードディスクなどを暗号化し、アクセス制限をかけてしまいます。そのアクセス制限を解除する、身代金の要求を対象PCに表示するといったマルウェアです。下記にランサムウェアWannaCryの仕組みを簡単に記載しました。
このWannaCryは感染したPCだけではなく、周囲のPCまでも感染させるといった悪質な特徴を持っています。その仕組みについて説明していきましょう。
(1)感染元のPCが何かしらの要因(メール添付の実行ファイル、悪質サイトアクセス)にて、WannaCryの展開元となる「Dropper」というものをPCに取り込みます。
(2)このDropperは感染PCを制御不能にさせるための必要ファイル、暗号化実行ファイル、ランサム表示データファイル、言語ファイルなどをPCに展開します。
(3)展開されたPCのハードディスクは暗号化され、同時にスクリーンに対し身代金要求の画面と支払期限までのタイマーなどを表示し、キーボードなどユーザインターフェースからの入力などを不能にさせ、PCが制御できなくなる状態にします。
(4)(3)と同時に他のPCを感染させるためのDropperを作成し、感染対象PCを探します。この時、利用されるプロトコルがWindowsのファイル共有プロトコルSMB(Server Message Block)です。
(5)感染はこのプロトコル:SMBv1の脆弱性を突いてきます。上の図の場合、PC-BのSMBv1の脆弱性を突いてバッファオーバーフロー(*)という手法を用いてPC-Bにバックドアを仕掛け、Dropperを取り込ませます。
(6)その後の処理は上記(1)~(5)の繰り返しで感染PCを増やしていきます。
(*)バッファオーバーフロー:本来のプログラムが制御できない領域を作り出すこと
このように、ランサムウェアの感染でポイントとなるのは、「脆弱性を突いた攻撃」なのです。SMBv1の脆弱性というサーバーの特定リクエストを処理する際、バッファオーバーフローを起こさせ、バックドアを仕掛け、リモート操作を行えるようにします。この脆弱性を解決するパッチファイルはMS17-010というものが既に出ています。このパッチファイルを適応すれば感染は広がりませんでした。
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